魅力ある物語作家の話が子どもたちは大好きだ。ソドー島のおもちゃの列車たちを主役にして大成功をおさめた「トーマスと仲間たち」の原作はレヴランド・W・オードリー著「Railway Series」である。世界中の子どもたち、車体番号6をつけ、勇敢でいたずら好きな緑の機関車をひいきにする忠実なファンたちが、この「パーシー・セレクション」を生んだ。ショートストーリー9話を収録、ナレーターはジョージ・カーリンとリンゴ・スター。ジレンマをテーマに穏やかな教訓でしめくくられるものばかりだ。パーシーは生意気なふるまいで困った羽目に陥ることが多い。「Percy Takes A Plunge（うみにおちたパーシー）」では水にはまってしまうし、もっと悪いことに「A Scarf for Percy（パーシーのマフラー）」では体中ベトベトになってしまう。そして誰もが忘れられない「Percy’s Ghostly Trick（ゆうれいきかんしゃ）」では、身も凍るような怖い話を聞かせた後、石灰岩を積んだ荷車にぶつかってしまったパーシー。粉をかぶって幽霊のように真っ白になり、仲間たちを震え上がらせることに。郵便配達をし、子どもたちを運び、仲間の機関車たちを手伝いながらも、パーシーはヒマを見つけてふざけては災難に見舞われている。数々の災難の合間に、勇気あり、虚勢あり、英雄的行為あり、屈辱ありの構成。幼児たちはパーシーの災難に同情し、役に立ちたい、誉められたい、という彼の真剣な思いに共感を覚えることだろう。友情、機知に富む対処の仕方、人を許す気持ち、などエピソードを通じて貴重な体験を得られよう。列車愛好家ならば、老いも若きも、ふんだんに登場する列車用語とリアルなミニチュア列車に大いに満足できることだろう。対象年齢2歳から6歳。（Linn Gibson, Amazon.com）