アメリカではニッケルオデオン局で放送されている、イギリス生まれのアニメシリーズ「キッパー」の4つのお話をまとめたビデオ。「Pig's Present」（ピッグのプレゼント）は、心の葛藤についてのすばらしいお話。作家でイラストレーターでもあるミック・インクペンによって作り出された元気で思慮深い犬のキッパーは、友だちのピッグの誕生日プレゼントを買おうと小さいペットを探しに出かける。キッパーは抱きしめたくなるような、愛嬌のあるハムスターを家に連れて帰るのだが、その小さなハムスターにだんだん愛着を覚えてしまい、それをプレゼントすることを考えると胸が痛ようになってしまう。しかし、ピッグはずっとそんなペットを欲しがっていたから、キッパーは彼をがっかりさせたくないのだ。どうしたらいいのだろう？
   キッパーのマンガの傑作のひとつ、「Rainbow Puddle」（虹の水たまり）は、我らがヒーロー、キッパーの、雨の水たまりでの魔法のカエルとの出会いを描く。キッパーの3つの願いをかなえなくてはならないカエルだったが、彼の水たまりがゾウ（キッパーの2番目の願いことで出現）によって吸い上げられ干上がってしまったとき、突然自分自身の願い事をかなえなくてはならない羽目に。「The Butterfly」（ちょうちょのお話）では、キッパーが、まるでスミレ色に魅せられたようにして優雅なちょうちょを一生懸命追いかけまわす様子を描き、「The Bleepers」 （ブリーパーズのお話）では、宇宙船を直さなくてはならない、キャンディよりもキャンディについている棒のほうが好きな2人の若くて騒々しい地球外生物についての、とてもおかしな話である。いつもながらに、4つのお話すべてはファンシーさと、愛や人と協調していくことについてのほのかな教訓を混ぜ合わせたものをテーマにしている。愛らしい一品である。（Tom Keogh）