いかにも堅そうなオプションの本ですが、著者の経験談がうまく混ざっており、語り口もやさしく引き込まれます。また、デルタやガンマなどの指標についてもきちんと解説されており、良書だと思います。ただし、数式が多いため、一歩一歩噛み締めながら熟読すべきタイプの本だと思います。
　とはいえ、オプション初心者でもついてこれるように配慮されています。その意味でも好感がもてました。

オプションがなんとなく実務的にしっくりこないときにこの本を読んで、腹に落ちた感じがしました。理論的に厳密には書かれていませんが、そんなことでこの本の価値は落ちません。

著者の田中勝博氏は、経済アナリストとしてテレビなどで活躍していることからご存じの方も多いだろう。
語りかけるように書かれた同書は、同氏の語り口と同様、軽快で分かりやすい。
難しくとっつきにくいとされることが多いオプションも分かりやすい実例を引き出し、難しい言葉も極力さけている。かといって内容に不足はない。ブラックショールズ理論、ストラテジー、リスク指標、ボラティリティなど、実戦はもちろん、理論もかなりの部分分かる。
また、各章ごとに「まとめ」を設け、どの程度理解したかわかるように工夫されているのもいい。
これから取引をはじめようとしている初心者ばかりでなく、すでに取引きしている人にも楽しく読め、知識を補ってくれる本だと思う。

実戦のためのオプションというタイトルではあるが、一般投資家向きの書とは

言い難い。なぜなら、「オプションの売り」も紹介されているストラテジーに組み込まれているからだ。私を含めて、一般の投資家は損失無限大の可能性があると言われている「売り」は、資金面を考えてもできよう筈がない。とはいうものの、氏のユーモア溢れた語り口によるオプション指南は読み易い。オプションの概念を理解するに良書といえる。