ジョージア州アセンズの一ローカル・バンドから、80年代以降のアメリカ、いや、世界を代表するバンドに成長したR.E.M.がメジャー移籍前、インディーズのI.R.S.に残した音源（82～87年）を集大成したベスト・アルバム。パンク・ムーブメントを通過した感性で、改めてフォーク・ロックをとらえなおしたギター・ロック・サウンドが徐々に研ぎ澄まされていく過程を聞きとることができる。彼らの活躍が確実に80年代以降のロックの世界地図を塗りかえた。メジャー移籍後の音源が収録されていないという恨みは残るものの、ニルヴァーナやレディオヘッドの前にR.E.M.がいたことを改めて認識するには便利な1枚だ。（山口智男）