北欧のキングという異名に納得
★★★★☆
タイトルは「モールス」よりも原書版に近い方がラストとも合うのに。
残酷シーンには疲れたのですが、リメイク版はもちろんですが、オリジナル版の
映画も見たいと思いました。
北欧の人の名前に馴染みがないので、最初は誰が誰だかなおさら掴みにくかったです。
でも、特に下巻の方でがんがん読むスピードが上がっていき、夕食を食べるのが
凄く遅くなる位でした(笑)。
エリと知り合い仲良くなりたいと思う気持ち、ヴァンパイアと知って離れたいと思うオスカル
の心理がイジメの合間に丁寧に書かれていて、大人よりも世界(?)が狭く、枠をはめられている
子供の友情・恋の物語という部分が生きてきます。
ちゃんと殺しておかないと必ずヴァンパイアになってしまうという設定とか、純粋に吸血鬼になる
というよりは何かに乗っ取られているような感じがあること、体の変化の部分等で
オリジナリティーがあって興味深い。
また、これまでの吸血鬼より血がすぐに必要になり代替物がないのが弱点で、だからこそどんどん
殺し続けなければならないので、エリが逆襲されないかハラハラ感が大きかったです。
ただ、導入部のオスカルのイジメに関する部分とホーカンの児童ポルノチックな部分を
もう少し省いて、ヴァンパイヤとして生きてきたエリの過去や衝撃的なラストとその後の話に
もっともっと厚みを持たせてもらいたかったと思いました。
オスカルの内面、エリとの会話がほしかったです。
読後、萩尾望都の「ポーの一族」を読み返してしまいました。
エリの過去をもっと知りたい
★★★★★
オスカル少年との友情や愛情やら、と、
殺戮シーンの残虐さ、小児性愛だとかの嫌な感じ、
多彩な登場人物の数々やらで、
「このあとどうなんの!?この人もあの人もどうなんの!!??」っって、
ぐいぐい読んじゃいます。
人間とヴァンパイアの友情物語と言えば、
「ちびっこ吸血鬼シリーズ」ですが、
こちらは子供向けなだけあって、吸血鬼の栄養摂取に融通も効き、
深刻さはございません。
しかし、この「MORSE―モールス」は、
「現代の世界でヴァンパイアがどう生きて行くか」を深く捉え、
年を取らずに永遠の時を彷徨い続け、
しかし光のもとにはいられないという儚さやら、
生きて行くための生業の残酷さやら、寂しさ悲しさが、
ビシビシ伝わってきます。
個人的にはエリの過去をもっと知りたかったー。