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戊辰戦争 (戦争の日本史 18)

価格: ¥2,625
カテゴリ: 単行本
ブランド: 吉川弘文館
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スタンダードな戊辰戦争史 ★★★★★
戊辰戦争を軍事上の画期とし、ライフル銃段階に照応するある種の軍事革命をもたらしたとするあたりに著者の主張が見えるが、基本的には資料や先行研究を踏まえた上で軍事史の観点から堅実に書かれた戊辰戦争の通史である。

本書の叙述に血沸き肉踊る戦争描写を期待するとすれば、それはお門違いというものである。むしろ、薩長であれ、会津であれ、新撰組であれ、しばしば情緒的叙述によって諸書に描かれる戊辰戦争の諸場面が、全体の戦争史においてどこにどのように位置づけられるのか。そうした読み(直し)方が可能であることに、この本の有用性はあるように思われる。
いかにも「戦争の日本史」 ★★☆☆☆
 戊辰戦争という名の本を読むのは、本書冒頭でも紹
介されている原口清のもの(1963)以来です。原口のも
のは、いわゆる継起的な発展段階説でこの戦争を評価
したもので、当時のわたしには、とても新鮮に見えたも
のです。
 それに比して本書は、いかにも「戦争の日本史」の一
巻らしく坦々とした戦史であり、原口のもののような妙
味には欠けます。例えば、つい様々な思い入れをしてし
まう(最近の創作では、泡坂妻夫『飛奴』が秀逸)上野
戦争などは、2頁で終わってしまっています。しかし、次
のような結語は、坦々とした戦史の末のものだからこそ、
読者を考え込ませる重みがありました。
 
 戊辰戦争は結局のところ、大名軍役の動員基準とし
て施条鉄砲(ライフル)段階の洋式軍制を位置づけたと
ころに最大の意義があった。(中略)王政復古の名の
下に、新政府の軍事的ヘゲモニーを掌握した薩長の軍
事改革派は、この大変革を一気にやりおおせたのであ
る。

 他に、「戦争の社会史」たる「ヒト・モノ・カネ」の、とり
わけ兵器や軍事物資の輸送の実態の記述が、興味深
かったです。
軍事面に軸を据えた戊辰戦争史 ★★★★☆
幕末期から戊辰戦争までを舞台とした研究書や小説の類は多い。本書は戊辰戦争の直接的な原因となった長州戦争から始めて戊辰戦争の終わりとなる函館戦争までを軍事を軸に据えて記載している。戊辰戦争には色々な側面があるが、政治的な動きには深入りせず、軍事面に絞った記述は新鮮である。

戦国期には火縄銃が伝来し、天下統一を一気に進める原動力となった。それから300年、19世紀半ば頃には欧米では急速な火器革命が進展し、小火器は前装施条銃を経て後装施条銃に切り替わった。この時期が戊辰戦争の直前にあたり、戊辰戦争期には多種多様な新式銃が輸入されて戦われたことになる。射程距離の長い施条銃は軍の編成や戦闘方式も一変させてしまう。また遠征軍の戦いとなる戊辰戦争では、特に戦争遂行のためにヒト・モノ・カネの問題が重要である。これは本書の重要なテーマである。

戊辰戦争では参戦した各藩は速やかに新式銃を代表とする軍事革命を行った。これが出来たのは、江戸時代を経て確立された良い意味での封建制度の遺産ではないかと思う。
通史本として最適 ★★★★★
戊辰戦争を学術的に書かれた本としては、原口清氏や石井孝氏以来の本ではある。
通史以外の本だと、郷土愛が暴走しすぎた本か、新人物往来社系の恩讐史観が篭った本
しかないといっても言い過ぎではない。

通俗的な視点ではなく、今まで語られてこなかった戦争の銃器に関する話と、補給関連
に絡む諸外国との関係と、地元農民への負担などに言及している。
ミリタリーマニアにとっては、戦争そのものの戦術論や武士ファンにとっては武士道の
正義には一切触れていないのが不満かもしれない。その代りに、戦争がもたらした百姓
に対する付加(徴発、陣夫)や、戊辰戦争は近世戦国合戦の最後の形態である事を強調
している。

通読的な本の問題は、近世における戦国合戦で行われてきた「首実検」「陣取り」が行
われた事。武士層にとって略奪・虐殺当然視であるという事であり、新政府軍・旧幕府
軍双方に行われた事を注視している。

戊辰戦争を語る上で、「新政府軍による暴圧」だけに注視して、実は新政府・旧幕府に
限らず支配層(武士層)は一般庶民の生死は全て自分達の腹三寸でしかない事を書かな
い作家が殆どである。流石に郷土史家は武士層の暴圧を批判しているが、庶民の戦争被
害についても、自分達の都合のいい部分しか咀嚼しないのでは困ったもの。

戊辰戦争は軍事史の一端であり、それらを冷静に見つける史観に欠けると、カルト的に
なるのではないか?郷土愛のみ暴走した昨今の戊辰戦争本には、過去から未来への教訓
とした事例が見えてこない。会津の白虎隊の悲劇が、太平洋戦争のプロパガンダに利用
されたりした事をどう考えたのか?一部の歴史家の自己批判のみしか聞こえてこないと
いうのは、戊辰戦争から教訓を得ることは諦めざるおけないのであろうか。