インターネットデパート - 取扱い商品数1000万点以上の通販サイト。送料無料商品も多数あります。

新 自治体民営化と公共サービスの質

価格: ¥1,800
カテゴリ: 単行本
ブランド: 自治体研究社
Amazon.co.jpで確認
財政力の弱い地方の自治体から、さらに吸い上げてどうするのか ★★★★☆
 著者の本業は弁護士であり、基本的に自治体民営化によって公共サービスが後退・縮小し、基本的人権の保障が損なわれるという認識に立つ。よって「官から民へ」というスローガン、「小さな政府」論に警鐘を鳴らしてやまず、本業の傍ら各地で講演を積極的に行っている。本書は、その講演や従来の執筆活動に旧版発行以来の情勢や自治体民営化のなかで実際に生じた問題の具体例を紹介したものである。
 指定管理者制度、PFI、地方独立行政法人、構造改革特区、市場化テスト。公共サービスの民営化の手法は種々あるが、著者は民営化で公共サービスはまず後退・縮小するとしている。公共サービスに「良質」と「低廉」は両立し得ない。そして、企業は「利潤」を求めなければならないから、公共サービス全体は縮小するものだと断じている。
 そもそも、民営化は国と地方の財政赤字の縮小という建前と、ビジネスチャンスの拡大という本音で論じられる。しかしながら、サービスの質を維持しようとすれば、これまでの事例をひけばかえってコストがかかる。残るは財界の剥き出しの本音である。
 講演でも述べておられたが、著者が民営化に警鐘を鳴らす動機は、非正規雇用のサービス従事者と経営者の経済的格差である。民営化により「地方税をどのような形で制度設計したとしても(中略)地方自治体の財政力には大きな格差が生じるでしょう。そして公共サービスの水準にも、大きな地域間格差が生じる」と著者は述べ、また民営化を東京の企業が受注すれば(資力の差でそうなる)、ただでさえ疲弊している地方からさらに東京に富が吸い上げられる。これ以上、格差を拡大させる方向にこの国の形を制度設計してどうしようというのか。
 本書において著者は、その内実を顧みられないスローガンに疑問を呈し冷静な議論を呼び掛けている。熱い(ウォームな)心と怜悧(クール)な頭脳で著された好著。関係者は必読。
対等な立場でかかれたものではない ★★★★☆
基本的に自治体施設の民営化反対の立場に立った人が書いているので、教科書のように使うには問題あり。しかし、過去のPFIや民営化で失敗した例、役員の兼業や住民監査請求が届かないなど法令の不備などが記されており、数多くある参考書の一つとして読むべき。