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桃花源奇譚―東京残桃夢 (中公文庫)

価格: ¥680
カテゴリ: 文庫
ブランド: 中央公論新社
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重厚さには欠けるが、面白い ★★★★☆
 中国ものは注意を要するというのが持論だが、これは面白かった。主人公の公子を初め、周りを固めるキャラがみんな個性的かつ魅力的。最初、旅の目的が母を訪ねてかよ、と思ったが、なかなかどうして、最後まで引っ張られた。中国ものに慣れていない方もこれならいけると思う。読み始めるときに4冊そろえておいた方がいいですぜ。ライトノベルっぽい分、重厚さに欠けるので、星を一つ減らした。
奇跡的な達成 ★★★★★
全四冊を纏めて扱う.各冊にタイトルがついているが,開封暗夜陣,風雲江南行,月色岳陽楼,東京残桃夢の順で一つの物語をなす.国は中華,時は宋朝三代皇帝真宗の治世の最末期.謀略陰謀に明け暮れる王室に嫌気をさして家出した貴公子は陶淵明が語り残した桃花源(桃源郷)に実の母を求めて遥かな旅に出る.公子を亡き者にしようとたくらむ勢力の刺客が何重にも彼を付け回す.公子を助ける天命を受けた知恵者と武芸者が従う.波乱万丈の冒険の末,世にも美しい永遠の桃樹を見出し,悪人もろとも仙境に入り,母を得る.物語はあらかた実在の人物を駆使して壮大な美の世界を作り上げるファンタジーで,よくもここまで嘘八百を破綻なく並べ立てたものだ,と敬服するほかない.名作である.