評決 [DVD]
価格: ¥1,490
シドニー・ルメット監督、デイヴィッド・マメット脚本の1982年度作品。この法廷ドラマでポール・ニューマンは、一流俳優としてのキャリアにおける転換期に完璧な役柄を手に入れた。ボストンのアルコール中毒の弁護士フランク・ギャルビンとして、ニューマンはそれまでのハンサムな青い目の色男というイメージを払拭し、盛りを過ぎて年老いていくすさんだ男を演じてみせた。ショットグラスを手にした横顔はじつにわびしい。だが、ギャルビンは昏睡状態にある女性の医療ミスを証明するという再起のチャンスを与えられ、一念発起して自尊心を取りもどし汚名をそそぐ決意をする。手強い相手を前にして勝算は薄い。権力を持ち、政治家とのつながりもある弁護士(ジェームズ・メイソンはいつものように巧妙)に対抗することになるが、この弁護士は職業倫理に反してでも、訴訟に勝つためならばどんなことでもする男だ。事態はさらにややこしくなる。ギャルビンが信頼し愛すに足ると信じて疑わなかった女(シャーロット・ランプリング)が、ギャルビンの親友であり同僚(ジャック・ウォーデン)によって、そうではなかったことが暴露されるのだ。法廷ドラマとしても、人間観察としても秀でたこの映画では、マメットの鋭いセリフが炸裂している。またルメットの監督方針も、抑制を効かせた映画とはかくあるべしという見本である。この映画はニューマンに彼の映画人生の中でもトップクラスの役柄を与えた。多くの人が彼はオスカーを手にする権利があると考えたが(このときは、『ガンジー』のベン・キングスレーに敗れた)、ニューマンがようやくオスカーを手に入れたのは『ハスラー2』。遅すぎたオスカーだった。『ハッド』、『暴力脱獄』、『明日に向かって撃て!』と並び、『評決』はオールタイムのアメリカの名優の1人よる、記念碑的な演技が刻まれた作品として高く評価される。(Jeff Shannon, Amazon.com)