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1968 (知の攻略 思想読本)

価格: ¥2,100
カテゴリ: 単行本
ブランド: 作品社
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鼎談の意図が的確 ★★★★★
世界同時的に学生運度の大波が社会を覆いつくした1968年、パリで、バークレーで、東京で。その社会現象を日本では映画産業の斜陽化と労使紛争が50年代から続いている。その延長上で学生運動も連動し、新左翼運動へとエスカレートする。その背景を的確に捉えた鼎談は読み応えがある。1968年を語る本は世界を含めて多数出ているが、自分史の一端を映し出した本が多いなかで、日本と世界との問題の共時性と空間的シンクロニシティを描き出した編集は秀逸である。
論壇ネタ本 ★★☆☆☆
この本についての最も的確な評価は、この本のなかに収められている。酒井隆史「1968、イタリアの特異性」を読めばいい。この論攷の締めくくりで酒井は「68年はあらためて回顧されるべきものではなく…ずっと人々の闘いのなかに生きられてきた。「論壇の新ネタ」以上のものが求められているとしたらだが、そうした「現在」の闘いのなかに根ざす姿勢を手放さないこと以外に、68年を捉え返す意義があるとはとてもいえない」と述べている。本書が全体的に「論壇の新ネタ」として68年を扱おうとしていることは、冒頭の蓮見、スガ、上野の対談を読めば明らかである。いくつかの論攷は68年とその現在性に真剣に向き合おうとしているが(それに対して★2つあげたい)、この本自体がそういう意図はつくられていない。現在改憲論議が活発する中で「歴史認識」問題の焦点になっているのは45年をめぐる、戦前と戦後をめぐる対抗である。何故ここが焦点になるかといえば、現在の日本国家とアジアの関係において、規定的要因だからだ。68年にそうしたものがあるのか?何を今日に継承すべきなのか?それにきちんと向き合った本は、いままだ少ない。
この本全体が、阿部嘉昭への応答なのかも ★★★☆☆
 正直って、私は巻頭の蓮實重彦・上野昂志・スガ秀実の座談会を読むためだけに、この本を買った。それにしては2000円は高いけど。
 この本は、特に日本を扱った部分がサブカルチャーを強く意識している。で、巻頭にも映画の座談会が置かれたわけだが、これって阿部嘉昭への返答という意味があるんじゃないかと思う。知ってる人は知ってるでしょうが、阿部は「六八年の女を探して」の中でスガの前著「革命的な、あまりに革命的な」を「色気が足りない」と批判し、スガの68年論を反面教師として彼の映画女優論をまとめたと言っている。それに対してスガは、不得意分野に友人たちの応援をもらって、彼なりの筋を通そうとしたということではないか。色気問題に応えてはいないけど。
 ちなみに本書には田村千穂が「映画と女性」というコラムを寄稿しており、阿部の本を茶化しまくっている。68年の女なんてアンタの幻想でしょ、と。阿部の議論がかなりナルに流れる傾向があることは認めるけど、田村氏の言い方もちょっと、自分が女(だと思う)なのを鼻にかけてる気がする。私としては田村氏に、「じゃあアンタ、スガの68年論は本当に許せるのか?」と小一時間ほど問い詰めたい気もする。
 ところで、最初の座談会ですが、面白かったです。何がって、鶴見俊輔を小ばかにしているところ。私も小熊英二「民主と愛国」の、鶴見をフィナーレに持ってくる構成には????だったんで、ちょっとスッキリした。