晴れた日に絶望が見える 影男煉獄シリーズ
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「死の拠」・・・。
それを模索すべく1999年程前より描き始めた作品が『影男』シリーズである。
この絶望的影男の物語は、現在日本に生きる若き未婚男性そのものだ。
少子高齢化が進む時代・・、妻も娶れず、家庭も築けず、子を設ける事も出来ず、誇りある仕事に就ける訳でもなく、社会的に虐げられた上、老いても年金が貰える保障すらない。
長生きしたとてそれは苦痛に塗れた絶望人生。
最後は犬死だ。
その結果、男達はバーチャルな世界に逃げ込むしかなくなった。そんな孤独で絶望的な男達が溢れんばかりに漂う國、日本。
もはや、そこに生きる意味などあるのか?
否。
生きる意味など何一つないのだ。
自分の遺伝子を残せないオスに存在価値はない。
ただの「いらない人間」。
もはや、存在自体無意味になった今、人生の敗北者たる男達に唯一残された選択肢は「死の拠」のみ。
如何にこの絶望人生に決着をつけるか?
そうなのだ。
如何に生きるかよりも如何に死ぬかを人生の喜びとすればよいのだ。
残された唯一の道はただひとつ・・。
不用な身体を捨て、魂を新たなステージへ昇華させること。
20世紀前半の世界大戦で、310万人もの同胞が国家の為に殉じていった。
これと同じ「祀り事」が、近い将来起こっても何ら不思議ではあるまい。
男は結局、「死の拠」を求め彷徨う生き物なのだ。
生きる価値がなければ「死の拠」をみつけ、それに殉じるのが「いらない男」の務めであろう。
それが『影男』シリーズのテーマだ。
(本書あとがきより)
少年画報社刊「月刊アワーズライト」から幻冬舎刊月刊コミックバーズにて約6年に渡り継続連載された、漫画家あびゅうきょの影男煉獄シリーズ。
2003年にバーズコミックススペシャルとして出版された『晴れた日に絶望がみえる』はその第一巻。
バーズコミックスでは単行本化されなかった最終巻までを一挙キンドルで電子書籍化。
●電子書籍版「晴れた日に絶望が見える」収録作品リスト
<影男シリーズ>
「絶望廃墟要塞1999」 兎菊書房コミックエデンVol.1(1999年11月)
第1話「晴れた日に絶望がみえる」 少年画報社『月刊OURsLITE』2001年1月号
第2話「絶望男は希望羊の夢をみるか?」少年画報社『月刊OURsLITE』2001年5月号
第3話「ぜ」は絶望の「ぜ」 少年画報社『月刊OURsLITE』2001年8月号
第4話「絶望年代記」 少年画報社『月刊OURsLITE』2002年6月号
第5話「果てしなき絶望の果てにA」 少年画報社『月刊OURsLITE』2002年1月号
第6話「果てしなき絶望の果てにB」 少年画報社『月刊OURsLITE』2002年3月号
「絶望トンネル」 青林堂『ガロ』1998年5月号(Vol.397)
(注/キンドル電子書籍版は容量制限等の理由により幻冬舎コミックス版とは作品構成が異なっています)