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万能鑑定士Qの事件簿 II (角川文庫)

価格: ¥540
カテゴリ: 文庫
ブランド: 角川書店(角川グループパブリッシング)
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偽札でハイパーインフレを引き起こす ★★★★★
という話は、さっそくブラッディ・マンディにセリフ内でマネされてました。
インパクトがある斬新な話だったからでしょう。
トリックを推理できる化学要素は隠されずに前に明かしてあるんですが、
うまく散らしてあるのでうまいこと引っかかりました。
あれをファットマンキャラとして、ニコちゃんマークの反対の狙いで
宣伝利用するという理屈は説得力があって、一瞬本当かと思いました。
これに挑戦した心意気だけは認めたい ★★★☆☆
試みはとっても面白かった。だからこそわざわざ買ってきて読んだ。
試みだけはとっても面白かった。
・・・・・ページめくるごとにツッコミ入れてた気がします。

とりあえず、工芸官は1人じゃないし、国家一種試験で採用できるような仕事でもないし、警察の上層部が印刷局の情報を知らなさ過ぎたり、当然取るはずの対策がとられてないとか、紙幣に関する説明が意味不明とか、ファンデルワールス力って何か違わないかとか、何で紙表面のコーティングでその上に乗っかるインクの経年劣化がなくなるのかわかんないとか、「二酸化ケイ素を『まぶした』水溶液」ってなに?とか、そんなもん家庭で再現できると思えないとかエトセトラエトセトラ。
根本的に、偽札でハイパーインフレはどう考えても不可能なんですが、要するに日本でジンバブエやりたくてドイツを参考にした知能犯を作ってみました♪っていう無茶ぶりなので、多分気にした人が負けです。負けました。

なにはともあれ、突っ込みの入れ甲斐のある本でした。
いっそそういう愉しみ方をするための本だと思えば、ま、いいんでしょうね。
個人的には実は犯人の手口に気付いていた国家が、これ幸いと円高に歯止めをかけるための一芝居をうって、犯人が明るみに出るまでの短期的混乱を煽ってたっていう国家陰謀説を支持しています。
野趣溢れるエンターテインメント ★★★★☆
「千里眼」シリーズの松岡圭祐氏による新たなミステリーの幕開けです。

今回の主人公は、鑑定士凛田莉子。万能鑑定士を名乗り、その卓越した知識と観察眼でどんなものでも鑑定してしまう若干23歳のスーパーヒロインです。
松岡圭祐氏の描くスーパーヒロインには、千里眼シリーズのスーパー・クール・ビューティ岬美由紀がいますが、彼女が文武両道のカリスマ的な突出した存在であるのに対し、本シリーズの莉子は博学ながらも素朴でおとなしいキャラクターという設定になっており、岬よりも少し人間的というか親近感がわきます。
とはいえ、その知識と観察力は驚愕に値するものであり、やはりスーパーウーマンであることには変わりないわけで、「ありえねぇ」シーンが多発するのは松岡シリーズの鉄板でもあります。

莉子がその類い希なる才能を備置するようになったのは、人間の記憶に関するメカニズムを教わったからなのですが、その内容自体は実にリアルなもので、松岡氏らしい蘊蓄が随所に見られます。情動が記憶のメカニズムに深い関係を有することは脳科学の分野では証明されていますが、それを高い感受性を有する莉子が実践していく件はなかなかに興味深いものがありました。

さて、本書のあらすじですが、都内を浸食していくシールの謎に始まり、国家規模の偽札事件、ハイパーインフレによる日本経済の終焉、という非常に野趣溢れる内容です。松岡ワールドここにあり、といった感じですね。細切れの章立てと小気味よいリーダビリティでどんどんページが進んでいきます。

残念ながら最後に辿り着いた「動機」に肩を落とすことになりましたが、エンターテインメントとしては面白く仕上がっていると思います。

なお、本書は角川文庫でT、Uの2冊で1つのストーリーが完結しますので、購入の際には2冊セットでのご購入をお忘れ無く。

V、Wも既に発売されているので、引き続き読み進めたいと思います。
莉子の魅力を追ってあれよという間に解決篇 ★★★★★
1巻の続きです。この2巻で一つの話が解決し完結しますが、2巻から読み始めると
意味がわかりません。

1巻で匂わされたハイパーインフレの謎、コンビニの弁当が数万円、少年ジャンプが六千円
という物価高騰の謎がまず冒頭で明らかにされます。できればオビにでかでかと、あんな風に
書かないでほしかった。読んでから驚きたかったですね。

でもそれはあくまでこの本の発端。そこからは莉子や小笠原の、1巻に引き続きユーモラスで
人間味溢れるコミカルな活躍が始まります。

なんといっても、情報の処理の巧さは特筆に値します。経済の混乱を判りにくくせず、庶民の
目線で描写していく過程で必要な事を漏らさず伝えていくのは大変なものと言わざるをえません。
紙幣をその手で描ける工芸官というキーマンを追う過程、パニックの中を沖縄に向かい、まさか
これでばったり犯人と会っちゃ安易だよなと思わせる読者の気分を逆手にとる展開、莉子の推理
が当たったり外れたりで本人と一緒に一喜一憂してみたり(その主人公らしからぬドジっぽさも
新鮮です)、とにかく起伏にぐいぐい引っ張られっぱなしです。

特に西表島、船浮集落から東京にとんぼ返りする辺りの展開は面白くて、これか?いやだめか、と
人の死んでいないのにハラハラさせられます。

手掛かりはちゃんと物語の中で提示されていて、解決篇としての最終章で会話のなかで少しずつ
事実が浮き彫りになるところの情報処理も、本当に優れてます。莉子は非常に魅力的なヒロインで、
読後も印象に残るキャラです。

たぶん松岡氏の作品としては、これまでで最も純然たるミステリ、推理物としての体裁の整った
作品でしょう。殺人事件がなくてもこんなに面白くできるんだ、というのは「催眠」が初めて
世に出た時と同じ。トリックだけじゃなくロジックもきちんと成立してて読ませます。

千里眼シリ−ズがあまりに奇想天外、荒唐無稽が売りになりすぎて松岡氏から離れていたという読者
に、オススメの作品と思います。千里眼が好きだった人には、贅肉をそぎ落として面白さを残した
作品と受け取られ、やっぱり楽しめると思います(機械のうんちくが延々書いてあるのが好きな人
だけには向かないでしょう)。公式サイトには集大成的作品とありましたが、さにあらず。
まったく新しい挑戦だと感じました。

内容には満足ですけど、
惜しいのはやっぱ、2巻に分ける戦略ですよ角川さん。これはいっぺんに読まないと。1巻だけじゃまだ
事件起きてないじゃないですか。同時発売の単行本はなぜか2巻併せた価格より高いし。
ダヴィンチコード3巻に分けるのもどうかと思いますが、分けるかどうかは内容で決めてくれませんかね。

このクオリティが維持されることを願い、来月の3巻を期待し待ちます。今度は音楽プロデューサーの詐欺師登場!
小室さん?(笑)