母と子の物語:甘美で欲望にまみれかつ衝撃的な
★★★★★
母と子の物語というと、葛藤から和解に至るにしても悲劇に終わるにしても、いくつかの「パターン」ってありますよね。「グリフターズ」はそのパターンを完璧に外した、おそろしく斬新な物語です。しかも、読んだだけで血がでてきそうに「斬れる」セリフに溢れ、恐ろしいまでのリアリティが感じられ、やっぱり傑作としかいいようがない小説です。
「エンターテイメント」として後味いいとは言い難いのが、今ひとつメジャーになりきれない原因なのでしょうか。人間の底知れない深さを感じさせてくれるという意味では、トンプスンが好きだったというドストエフスキーにも匹敵する気がします。僕は文学の研究者じゃないですけど、これがとんでもない傑作だってことだけは確信ありますけどね。