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若き日の友情―辻邦生・北杜夫往復書簡

価格: ¥7,647
カテゴリ: 単行本
ブランド: 新潮社
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深く濃い友情の足跡 ★★★★★
北杜夫氏と辻邦生氏は、気質的には違っていながらも、共にトーマス・マンを愛し、日本では数少ない、読み易いながらも深く広々とした世界を描く小説家だと私は思っている。
本書は、その二人の若き日の往復書簡集。
その出会いは、北氏が空襲で家を焼かれ、旧制松本高校の思誠寮に入った1945(昭和20)6月。年上ですでに入寮していた辻氏によると、「斎藤茂吉の息子が来る」ということで、その転入は噂になっていたそうだ。それ以来、辻氏の死まで二人の交友は続いた。
本書に収録された1948(昭和23)年から1961(昭和36)年までの書簡を読めば、その友情の深さ・濃さが良く理解できる。また、後に『楡家の人びと』『輝ける碧き空の下で』、『安土往還記』『背教者ユリアヌス』といった名作を書いた二人の小説家の若き日の率直な思考や悩みを知ることもできる。
文学的な面白さだけでなく、旧制高校の中で育まれた“男の友情”とはどういったものだったのかなど、興味は尽きない。

二人の対談集『若き日と文学と』も併せて読まれることをお薦めする。

真摯な魂の交流 ★★★★★
辻さんの『回廊にて』『背教者ユリアヌス』や、北さんの『どくとるマンボウ青春期』『楡家の人々』を、夜が更けるのも忘れ、朝方まで読みふけった若き日を思い出しました。お二人の交友はつとに有名ですが、本書簡集の主要部分が掲載された月刊『新潮』2009年9月号を読むまで、これほど深い友情で結ばれていたとは知りませんでした。旧制高校の先輩である辻さんが北さんを文学の世界へと誘なうことになったわけですが、今度は先に文壇デビューを果たした北さんが、小説を書くことの意味に確信が持てず懊悩する辻さんを励まし、作品を発表するための実際的な便宜を図る過程が、本書によって、手に取るように明らかにされています。一時代を代表するような作家二人が、青年時代から互いへの尊敬と愛を失うことなく真摯な魂の交流を続け、ともに大を為すというのは、文学史上でも稀な出来事ではないでしょうか。私信でありながら、一枚の葉書、一通の手紙からも文学の香気が漂ってくる、美しい書簡集です。