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食料を読む(日経文庫)

価格: ¥903
カテゴリ: 新書
ブランド: 日本経済新聞出版社
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安全保障として我が国の食料政策を考える基礎として必読 ★★★★☆
2007年から2008年にかけて叫ばれた「食料危機」とは何であったのだろうか? 人間の食料となる小麦と飼料穀物の代表であるコーンの価格が急激に上昇して、その後は高止まりするのではないかと当時、多くの識者は語った。
実際は、原油価格の高騰をチャンスとみた米国(及び欧州の輸出国)が低迷する穀物価格の上昇を目論んで穀物の燃料化を政策的に誘導した結果である。高騰した原油価格のもとでは、高くなったコーンを燃料化してもペイするようになり、穀物価格も高騰したが、その後の原油価格の暴落により、現在の穀物価格は安定化している。
また、農業については、余り一般に知られていないが米国やフランスのような輸出国であっても、直接支払い等による多額の農業支援策が取られている。この仕組みは複雑で、日本のように重要品目であるコメに高額の関税をかけて輸入を阻止しようとするだけでは世界的な輸入自由化の流れから困難になってきている。この辺りの事情を本書はわかり易く解説してくれる。

我が国の農地面積は約465万ヘクタール、現在の日本国民の食生活では、これに海外に約1250万ヘクタールの借りているようなものだそうだ。所詮、我が国では今の食生活を続ける限り、食料の相当な部分を輸入に頼らざるを得ない。
コメについていえば、著者らは自公民政権時代に行った未完ではあるが関税率75%を前提とした興味深いシミュレーションの結果を示している。その後の政権交代により、戸別所得補償制度の採用が決まったようであるが、著者はその直接的な評価を避けている。
食の安全保障の観点からどの程度の生産基盤を残すか、そして国民が許容できる財政負担のなかで戦略的な政策を決めていく必要がある。是非、今後も検討を進めて欲しい。その場合、生産者間で競争原理の働き、実質的な生産原価を国際水準に近づける努力が必要であろう。