１５秒長くても３０秒、コマーシャルの中に凝縮されたドラマ。
短いキャッチコピーの裏側に込められた思いに胸が熱くなりました。
コマーシャルフリーク必見の本です。

言葉と向き合うことは、生きることと向き合うこと
仕事のポートフォリオ集ではなくて、
人生のいろんな物事に“きちんと”向き合って、
痛みもうれしさも“きちんと”感じるから、
人の心を動かす言葉を生みだすことができる。
何度も読み返している大切な本です。

この本は、いわゆる作家が書いた本ではありません。
エッセイストが書いたエッセイでもない。
著者の岩崎俊一氏はコピーライターであって、
だからといって、実用書的なノウハウ本でもない。

ここに書かれているのは、世の中をいろんな角度で切り、
それらと真摯に向き合った人間の、生きた言葉です。

はじめて読んだとき、
「この本と学生のときに出合っていれば…」と思いました。
ステレオタイプの見方に囚われず、ひとつの事象にさまざまな切り口を発見する。
その切り口をもって人を動かす。
そういった思考の「お手本」と早くに出会っていれば、
世の中との距離は、今より近くなっていたかもしれません。

これから社会に出てがんばる学生のみなさんの中で、
もっと広く世の中を見たい！とお考えの方がいらっしゃればぜひオススメしたい一冊です。
広告という、数秒のコミュニケーションで人を動かすことに日々奮闘している方が書いた本ですから、
きっと小説や実用書とは違う、新しい発見があるはずです。

日本を代表するコピーライター、岩崎俊一氏。
名前は知らなくても、ここに掲載されている数々のコピーを読めば、
ピンと来る人も多いのではないだろうか。
厳選されたコピーとともに多数掲載されている書下ろしエッセイも読みごたえ十分。
時代を動かしたコピーを書き続ける著者の「心の動き」が分かります。
タイトルどおり、読み終えると、ちょっとシアワセな気分になれる一冊です。

広告コピーは、ひとに幸せをもたらすかも知れないなにかを伝える言葉の塊であろう。そんな視線で人生を見つめて、「幸福を見つめるコピー」というタイトルが生まれたと思うが、個人的にはあまり好きではない。
しかし、コピーを書く姿勢を述懐するもので、薄っぺらいノウハウ本ではない。幸せはこんなにほろ苦いのか、こんなにざらついているのか、こんなに優しいぬくもりがあるのか、ということを考えさせてくれる。美しいクラシック音楽を聴いたときの満たされた気分になれる。