南部の香が漂う名盤
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C.C.R.が、ストリート・ミュージシャンの「ウィリー・アンド・プア・ボーイズ」に扮したアルバムで、グループの最高傑作の一つ。1.のコーラスが決まっていてカッコいい。2.の南部っぽいロックンロールなんて、聞いていると自然に体が動いてきます。これこそC.C.R.の真骨頂でしょう。4.はハーモニカとウォッシュ・ボードと言うパーカッションをフューチャーしたイントロが面白く、ジャケット写真そのままの演奏風景が思い浮かぶタイトル・チューンとなっています。このアルバムはシングル・ヒットを連発する次作とは一味違った高貴な質感を持った作品で、完成度という意味では他の追従を許しません。よって少なくとも本作と次作だけは押さえておきたいものです。
貧乏少年音楽隊の力強い音
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街角でウォッシュボードやハーモニカを演奏するメンバーの姿から、アルバムを予測する事は出来ない。中にはジャグバンド演奏風の曲もあるが、これはあくまで次の曲への導入部として使われているもので、アルバム全体はしっかりとしたCCRのロックンロールで統一されている。
最もポピュラーな「綿花畑」をはじめとし「街角で」「幸運な奴」「深夜特急」「青空の使者」「見るな!」と言ったようにシングル曲、或いはそうなり得る素材が目白押しに入っている人気アルバムなのである。発表当時は最高傑作と評されたりした。今では彼等のポップ面を強調したアルバムのように位置付けられているのかも知れない。
一言で言うなら、それまでの彼等の硬質なアルバムと比べてかなりスマートで判り易い音楽を印象付けている。とは言えヘヴィーな長尺曲も含んでいるのだが「墓場行き列車」のような暗くて重いブルース・ムードはない。以降、彼等のシングルはよりキャッチーでコマーシャル・センスの強いものになっていく。その先駆けが本作に見える。ロックの芸術論なんか無視して突っ走っていた彼らの力強さと純真さがストレートに判り易くシンプルな音楽を作りだした。
アート・ロックやブルース・ロックが牽引していた時代に、形式なんか構わずに、男は黙って力尽くで勝負だ!と主張したバンドの記録である。
これぞクリーデンスの世界
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今思うとクリーデンスこそが僕の洋楽の先生でした。彼らのアルバムを聞くことによってシングルでは味わえない、偉大なAMERICAN ROCKの世界に導いてもらったのだ。ここでもコットンフィールズやミッドナイトスペシャルといったトラッドをクリーデンス流にとってもかっこよく聴かしてます。シングルヒットの数も凄かったけど実は彼らの本当の良さはアルバムをじっくり聞くとまた違った意味で格別です。この作品は彼らが憧れの南部のしがないバンドに自らを見立て、本当に楽しそうに歌い演奏しています。それは彼らの姿が目に浮かんでくるほど気持ちの好い世界です。
南部への旅
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バークリー出身CCRによる米南部追求アルバム。
所謂保守的なカントリーやブルースといった良心的なルーツに回帰したスタンスであり、当時のサイケや厚めのサウンドが主流になりつつある業界からするともの凄くアグレッシブな音作りであったに違いない。
もともとカントリーやブルース、ゴスペル等泥臭いルーツをストレートにロックンロールさせるバンドではあったけど、本作は特にそれらルーツを掘り起こした楽曲が犇めく。プレスリーやボ・ディドリー、リトル・リチャーズ等、ロックンローラーの精神を受け継いだ、本物のロック。
またアメリカの抱える問題点を浮き彫りにさせた『Fortunate Son』等メッセージ性の強い詞もあるが、あくまでもポップでキャッチーなのは希有の才能を持ったジョンならでは。
ロックの本道を歩んできたCCRによる限りなくアメリカンロックな作品。
CCRの最高作
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CCRがアメリカという風土を見つめた意欲作であり、また見事な結実を見ている。ジャケット写真から音楽内容までが全て彼らの視線で捉えたアメリカとなっている。このアルバムはWilly & the Poorboysというバンドが奏でるアメリカの土の香りのする音楽である。R&R,R&B,Countryが渾然一体となり、John Fogertyの才能によって纏め上げられているのである。