一生物の名盤
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おそらく一生聴き続ける事になるであろうアルバムです。
中村由利子さんは数多くのアルバムを出しており、バラエティに富みながらも全てが素晴らしいと言えるのですが、それらの中でもこのアルバムは最高傑作と言えると思います。
その理由は、アルバム全編を通じて音楽がまさにビジュアルであり、一つひとつの楽曲がおそらく中村由利子さんご本人が意図した世界を映像として私に見せてくれるように感じるからです。
1988年の作品ですので、できればりマスタリングされる事を切に望みます。
いや〜ぁ、参った。
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完全にハートをエグラレました、参りました。
一般的にピアノのキィーを叩く、というのでしょうが、中村由利子さんのピアノ奏法は、
”つま弾く”というのでしょうか?!(実際にはあり得ませんが)、
ピアノのキィーに触れる瞬間が、弦楽器での”つま弾く”ように実に繊細なのです。
全く”素晴らしい”です。
ピアノッてこんなにも繊細で、表情が豊かだった事に気付かされました。
癒し、というよりも、全てを忘れて、ピアノの声という大自然に身を委ねたい、
あなたに是非m聴いて、味わって戴きたいCDです。
いつまでも心に残る傑作アルバム
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まず、この1曲目「パストラル」をお聴きいただければと思う。澄んだピアノ、浮かび上がる情景、ある種ノスタルジックな響きにも通じるスケールの大きなメロディ。まさに中村由利子さんの本領が発揮された1曲である。
この曲に代表される中村さんのセカンドアルバム。彼女はソニー在籍時に3枚のオリジナルアルバムを出していて、そのすべてが傑作であるが、本作でも私たちをさまざまな情景描写に誘ってくれる。たとえば「ウィンター・ロマンス」でのリズミックなさわやかさはどうだろう。ラストの盛り上げ方は名作映画も観る雰囲気にも通じるものがある。「サンセットハイム」での流れるようなピアノの響きの心地良さ。「フラワーギャザリング」は春の日に花を摘む情景に光を当てた曲、「赤い靴」では珍しく舞台をテーマにした小曲であるが、ワルツのリズムが曲テーマの響きと快く響きあう。
彼女のアルバムでは、前作「風の鏡」が徹底して情景描写を表現していたことに対して、本作においては情景に限らず人間の心の内面にも焦点を当てているように感じる。本当にいつまでも心に残るアルバムである。
なお、冒頭にあげた「パストラル」には‘牧歌的な’といった意味がある。これは彼女が北海道・美瑛の丘をイメージして‘描いた’超名曲だ。
ビジュアルを想起させる音楽
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「風の鏡」に続き、バブル最盛期に発売された
中村由利子のセカンドアルバムである。
その音造りの基本は変わらないものの、
円熟と、哀愁の響きを色濃くしている。
本作と「風の鏡」に収録されたピアノ曲は、
今でもテレビや街のあちこちで
BGMとして流されているのを耳にする。
これだけの期間古びないアルバムも珍しい。
中村由利子の音楽には、ビジュアルを想起させる力がある。
ピアノの音を聴いているのだけれども、
聴いた者の脳裏には想起された懐かしい風景が広がり、
人はその風景に感動する。
だから彼女の曲は何時までも古びない。
現在、聴きなおしてみると、ソロピアノはソロピアノで
流れるメロディーが美しいが、溝口肇らの
オーケストラを絡めた編曲もすばらしい。
最初から最後まで通して聴きました。
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1枚を通して聴いた初めての作品です。最初から最後まで陰と陽、静と動がゆるやかに流れて1枚で完成されている作品です。ピアノの芯の響き、輝きを使って他の楽器も交えて素晴らしいアンサンブルが産み出されています。思い描かれた世界をくずさぬように、演奏も細心の神経が注がれています。何しろ引出しが豊富で、他にも幾つもある傑品からこのアルバムのために選ばれたこの10曲です。長い間溜め込んだ、迷うことのない10曲です。捨て曲はありません。聴いている方があまりに心地好く聴くことの出来る作品は、創る側の才能と余裕で満ち溢れた、贅沢な作品です。