『Feels』はサイケデリア、フォークロック、プログレッシヴ・ロック、ジャズ、モダン・クラシックと循環する主題を、大胆に集めた大コレクションだ。とりわけ、このアルバムはまとまりがあり、明確だ。この音楽は軽やかに広まり、脈打ち、野心的で一風変わっており、ジョージ・ハリソン、ブライアン・ウィルソン、モータウンの性質が強調されている。だが、アニマル・コレクティヴはそうした音楽の模倣ではなくて、そこに含まれ要素のほうに、より深くインスパイアされているようだ。ビーチ・ボーイズの『Pet Sounds』に通じる部分がありそうな弾けるドラムは、ダイナミックでわくわくさせる「Grass」、「Flesh Canoe」で大いに響いているし、ジョージ・ハリスン『All Things Must Pass』のページから切りとったようなギターが鳴っている。おそらく、和むラブソング中で最大にかわいらしい曲は「Purple Bottle」だ。ひとつではなく三つのクレッシェンドのあるリラックスした転調のさざ波だ。エイヴィー・テア率いるアニマル・コレクティヴはリスナーを優しく引き入れることもできるが、やすやすと歯を剥き出すこともできる。美しく淡い「Bees」のような曲でも、錆びついたオートハープ、調和の取れた歌声がゆったりと響く部分、旺盛でドリーミーなシンセに戦慄が混ざっている。「Daffy Duck」では、90年代後半のエイフェックス・ツインの雰囲気に挑戦している。ただし、メタリックなクロームの冷たさはなく、心をあからさまにして切望する共感を抱かせる。『Feels』はロック・ミュージシャンは時間をかけて完璧なアルバムを作ることができ、完璧なアルバムを作ることができるという信仰を復活させてくれる。大胆で斬新で深い意味を込めて――本質的に異なるシングルを集めてアルバムとして売る現在の流行とは、まったく違ったアルバムだ。
名前の通り、動物。
★★★★★
未だ聴いたことが無いあなた、
あなたには、賛否はどうあれ、
凄まじい音楽体験が確実にひとつ残っている。
この作品だ。
音楽に向かう姿勢が、もうまるで動物であるかのような野生。
フリーフォークという言葉は、この動物たちにはちょっと窮屈すぎる。
下地にフォークはあるにはあるが、野性的な感性と実験精神の邂逅により、
最早それは原型を留めることすら忘れてしまったようだ。
水中で夢を見ている様な透き通った音響。
野蛮でストレンジなのに、嘘みたいに優しい旋律。
自在に跳ね回るリズム、
万華鏡の様に目の前に色が広がり、戦慄。
ハナからルールが無いが故のアクロバット。
にもかかわらず、決して難解な作品にはなっていない。
この作品で、間口は確実に広がった。
未体験の人にこそ聴いてほしい。
卒倒必至、そんな音楽はそうそう出会える物じゃない。
これで知った
★★★★★
これで始めてアニマルコレクティブを知ったのですが、凄いって、一発で聞き惚れ、お金がなく、タワレコの視聴機で何回も聴いたのです
んで、やっと買えた
爆発的。ピアノがけたたましいほどに急かす けど、キラキラと透明
前半はカタルシスがたくさん ポップで聞き易い曲が多い
問題があるとすれば、ちょっと飽きる
感じる音のパノラマ
★★★★★
ニューヨークの鬼才ポストロックバンド、
アニマル・コレクティブの7thアルバム。
プロデュースはスコット・コールバーン。
大地の鼓動。
大自然の歓喜。
躍動する音の壮大なパノラマ。
彼らの新しいサウンドは
まさに、細胞で感じる音だ。
アフリカン・リズム、リリカルなピアノ、
はじけるギター、散りばめられた電子音…
どこまでもメロウで
ポジティブな広がりをみせるメロディ、
多彩な音のカオスから沸き上がる
ヴォーカル・コーラス。
花畑を飛び跳ね
岬を超えて 森を抜け 空に舞う
大地をひっくり返したような
楽園サイケデリック。
エイヴィ・テア、パンダ・ベア、
ディーケン、ジオロジストの4人の才能が
高次元で溶け合った
素晴らしいポップ・ミュージック。
そのオーガニックな響き、
豊かなインスピレーション、
美しい音たちの競演は
あまりに見事だ。
ムームのクリスティン、
バイオリン奏者のアイビンカンがゲスト参加。
不思議なポップ・アヴァンギャルドの創造に
一役買っている。
変身
★★★★★
アコギとパーカッション、そして歌声のハーモニーが織りなすトライバルなビート。ちょっと神経質なエレクトロニカの感触。そしてそれらと交わるエクストリーム。と、前作までのアニマル・コレクティヴはちょっと土臭くて小難しいサイケデリアを奏でるバンドという印象でした。
しかし今回劇的に変身!フワフワ&ポップなメロディーでファン層を拡げる傑作となりました。
とくにアルバム後半の『Banshee Beat』や『Loch Raven』のあまりにも非現実的な浮遊感はペットサウンズを聴いたときの感触に似ていると思いました。ちょっと言いすぎかもしれませんが。