これからが楽しみなテナー
★★★★☆
カウフマン2枚目のこのCDはドイツ人作曲家によるオペラのアリア集。フランス、イタリア、ドイツオペラとレパートリーの広い歌手だが、本人も語っているようにドイツ人として子供の頃から聞いていた、いわばDNAに刷り込まれた曲ばかりでやはり安定した歌唱が楽しめた。 ワグナー作品が5曲入っているが、彼の持つ繊細な表現力は強い声が要求されるワグナー作品ではあまり生かされないし、個人的にはモーツアルトのような少し軽めの曲の方が彼には向いているのではないかと感じた。「フィデリオ」のフロレスタンもドラマティックで良かった。
今年のザルツブルクに「ローエングリン」でデヴューして好評のようだが、「ローエングリン」はまだしも、いわゆる英雄物は本人も歌うのはまだずっと先の事と言っているので、当分は安心かも知れないが。
来年はMETの来日公演「ドン・カルロ」のタイトルロールで日本デヴュー、今から待ち遠しい。