ファンタジー成分に注意が必要
★★★☆☆
4年前に出た「Joel on Software」の続編……なんだけど、「ソフトウェア開発者採用ガイド」とかなり内容がかぶっているような。これはちょっとないんじゃない?
とはいえ、まぁそれなりに楽しんで読んだわけだけど。半分は示唆に富んだソフトウェア開発エッセイとして、半分はファンタジーとして。
ファンタジーというのは、やっぱ少し現実から乖離してるよなぁ……と思うからで、特にJoelのキャリアのかなりの部分がパッケージソフトウェアの開発であって、そうとう偏っているのがひとつ(おそらく彼は受託開発の楽しさ・面白さを知らない)。さらに彼の求める「優秀なソフトウェア開発者」だけでは、社会が求めるソフトウェアをすべて作れないことに起因している。そういう、彼の体験に根ざした部分は面白いが、知らない部分や関与しない(する気のない)部分に関してはバイアスがかかっていてリアリティに欠ける、つまりファンタジーなのである。
ファンタジーならファンタジーとして楽しめばいいんだけど、これを読んだ「普通のプログラマ」が変に影響受けちゃって、マネージャをコケにしたり、他の職種の人を見下したりしないといいなぁと思う。いや、若い人が感化されて、Joelのお眼鏡にかなうレベルの開発者を目指すっていうなら、それは素晴らしいことだけど。
本当のソフトウェア開発がしたいのなら必ず読むべき本
★★★★★
言わずと知れた有名ブログ「Joel on Software」からの書籍化第2弾。相変わらず話題豊富で才気煥発、これほど楽しんで読めるソフトウェア本も珍しい。
それにしても、この本で語られているソフトウェア開発は、3KだのIT土方だのと言われている日本のソフトウェア産業とは大違いだ。開発者は技術を理解するマネージャの下で、快適な個室でプログラムを書き、その意見や判断は専門家のものとして尊重される。これは絵空事ではなく、かつてMicrosoftや「新興ソフトウェア会社」で働いた著者が、実際にそういう会社を経営しているのである。
本当はクールなソフトウェアを作りたいと思ってたのに、いつのまにか賃金奴隷になって「プログラマ→SE→管理職」みたいな貧弱な図式でしかモノが考えられなくなっているのなら、この本を読むべき。本当のソフトウェア開発がどんなものかがわかる。
内容がうすい
★★★☆☆
内容が前に出たソフトウェア開発者採用ガイドとかなりかぶっています。かぶっていない部分は前作と比べると面白くありませんでした。ソフトウェア開発者採用ガイドを持っていない人なら買ってもいいんじゃないでしょうか。