これまで流通していたサウンドトラック盤は、デイヴ・ブルームによってアレンジされた再録音でしたが、この度新たに編纂されたこのCDでは、正真正銘、映画で使用されたハーマンのサウンドトラック演奏(トラック1~11)をたっぷり堪能することができます。虚飾に満ちた退廃の街ニューヨークがトム・スコットの甘ったるいサックスによって描かれ、夜の街を走る孤独なタクシー・ドライバーの内面に棲む怪物性が、ハーマン独特の重厚なオーケストレイションで表現されています。
1970年代を代表する映画音楽の金字塔です。
また、既発アルバムにあっ!たデイヴ・ブルーム編曲のポップ化されたナンバーや、レコード用に編集されたロバート・デニーロのセリフ(Diary of a Taxi Driver)も併せて収録されており、『タクシー・ドライバー』の集大成、決定盤となっています。
映画も名作ですが、音楽もほんとうに素晴らしい。とにかく「♪メインテーマ」は、70年代当時の深夜のマンハッタンを走るイエローキャブのテールランプや、タイムズスクエアなどのネオンサインなどの情景を・・・見事なまでに思い浮かべさせてくれます。
映画は、やはりCASTの素晴らしさ、シナリオの素晴らしさ、音楽の素晴らしさ、映像の素晴らしさ・・・すべてのバランスがあいまって、まさしく「名作映画」になるんでしょうね。
わたしは、この映画が好きで、もうずいぶん前ですが、マンハッタンで生まれて初めてイエローキャブに乗った時、感動!と同時に!、この「♪メインテーマ」を思いうかべたことがあります。