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晩夏に捧ぐ (成風堂書店事件メモ(出張編)) (創元推理文庫)

価格: ¥672
カテゴリ: 文庫
ブランド: 東京創元社
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ミステリーとしては、ガッカリさせられる。 ★★☆☆☆
 前作「配達あかずきん」の仄々とした良さが影を潜め、暗い雰囲気にガッカリさせられた。しかも謎解きを読んでいてイライラさせられた。全部で3作出ているが、この本はパスした方が良い。
 ただし、書店の描写は秀逸。“まるう堂”こと宇都木書店の歴史を感じさせる本店の佇まいは、本屋好きには嬉しい。読んでいてワクワクさせられる。嘗て神田の書店街にも、風情のある店が多かった。ノスタルジーを覚える。或いは風景描写なども良く描けていると思う。その点を評価しての星2つ。
 ミステリーとしては、評価0。これを読まずに3作目の「サイン会はいかが」に進んでも問題ない。寧ろ「配達あかずきん」の雰囲気に惹かれているのなら、本作は読まない方が良い。
なんだかなあ ★★☆☆☆
 2006年に出た単行本の文庫化。
 「成風堂書店事件メモ」シリーズの第2弾で、長篇ミステリである。
 主人公と名探偵役の二人が、長野の老舗書店を訪れ、店に出没するという幽霊について調べていくという話である。やがて、当地で殺された流行作家の事件とからんできて・・・という展開なのだが、この著者にはまだ長編小説を書くだけの技量はないと感じた。物語の展開に難があり、結末もぎょっとするほどカタルシスがない。これはちょっと・・・。
 書店に勤めた経験を生かした豆知識的な部分は面白いのだが。
長編化と方向転換が裏目に… ★★☆☆☆
『成風堂書店事件メモシリーズ』の2作目で,06年09月の単行本の文庫化になります.
前作の短編集から長編に,また『出張編』とあるように舞台は地方都市へと移ります.

物語のきっかけが幽霊話という事もあり,前作と同じ『日常の謎』系かと思いきや,
過去に起きた殺人事件や怨恨と,サスペンス寄りな内容に少し戸惑ってしまいました.

幽霊話も物語の流れ上,その事件や真犯人を捜すミステリのような方向へと傾くも,
早々に現地に入っての推理パート以降は,起伏に乏しくダラダラ感が拭い切れません.
おかげで,時折挟まれるその土地の景色や何気ないやり取りまでが冗長に感じられます.

また,辻褄は合うにしても事件の動機や真相についてはスッキリできない部分があり,
書店の謎を書店員が解くという,このシリーズの特色が中途半端になっているようです.
主人公二人の出会いのエピソードや葛藤の描写も,この中では埋もれているのが残念です.

まだ2作目,始まったばかりの作品で雰囲気や登場人物のイメージも固まっていない中,
地元の書店を離れてしまい,なおかつミステリ方向へと舵を切ったのが裏目に出た印象.
テンポも鈍くなり,1作目のような『書店の謎』に絞った短編集の方がよかったような….

なお,シリーズのコミカライズもされている久世番子さんの4コマが巻末に掲載されています.
本屋って奥深い。 ★★★★★
シリーズ一作目「配達あかずきん」を楽しく読んだので、
この作品も期待して手に取りました。

まず気に入ったのが、幽霊騒動の舞台である宇都木堂書店の描き方です。
重厚感のある店舗に、「まるう堂」という通称。
すんなりお話の世界に入り込めました。
話の展開としては、探偵が27年前におこった殺人事件の主要人物一人一人を訪ね歩き、
真実をつきつめ、最後は皆を集めて謎解き・大団円という、
ものすごくオーソドックスなものです。
更に”いくら名探偵でも、たったの3泊4日でそんな昔の事件を解決して良いの?!”
と、少し疑問も残りました。

そのあたりを差し引いても、ラストのまるう堂店主とのやりとりと、
作者のあとがきには胸が熱くなりました。
本屋という場所を、いかに神聖なものと捉えているかが伝わってきます。
実際に携わらないとわからないものなのですね。
私も本屋に勤めたくなりました。



ページのムダ ★★☆☆☆
長編である必要が全くない。大事なところだけを集めたら前作のような短編で充分収まる。
宿がどうとか景色がどうとかにページを割きすぎて、物理的な厚みを増すために必要ない描写を積み上げているような気さえした。
事件の方も、時効が来るほど誰も分からなかったのに、そんなカンみたいので解けちゃって良い物やら…。
最後の罠に引っかからなかったら犯人分からなかったし。