たまに誤解されている場合があるようですが、本書『悪魔の辞典』は悪魔とタイトルにありますけど、いわゆるオカルトの妖しい本ではありません。じゃあ辞典と言っているからには辞典なのか、というと……一応は辞典形式で、取り上げた単語について「皮肉な」解説がされています。
とにかく読んで面白い作品です。皮肉の切れがすごいです。どうしてそんな発想が出てくるのか、牽強付会した見方をすればそう表現できるのか、と感心するばかりです。
書かれている皮肉の中には、著者ビアスが生きた時代の実在特定人物を表現しているものもあるようです。ただその皮肉が現代日本人でもそれなりにニヤリとできてしまうというのは……時代や場所を問わず人間というものの姿はそう大きく違わないということなんでしょうか?
文庫本として普通の厚さの本ですが、もっともっとたくさんの項目の皮肉を読んでみたいくらいです。