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Ultravisitor (WARPCD117)

価格: ¥1,470
カテゴリ: CD
ブランド: Warp Records
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   トム・ジェンキンソンのソロ・プロジェクト、Squarepusher の進化は危うく見逃してしまいそうなくらい遅々としたものだった。だが7作目となる本作では、チェルムスフォードを拠点に活動するこのエレクトロニカの第一人者がやや荒っぽいドリルンベースを捨て去り、完全にひとり立ちした音楽の生みの親へと成熟した姿を目の当たりにできる。ジャケットのジェンキンソンの真剣なまなざしと羊を思わせるもみ上げを見ればわかる――彼のかつてのヒーローであるジョン・ケージやマイルス・デイヴィス、サン・ラーと同系列のシリアスな音楽にあえて仲間入りしようとしているように感じられる。

   本作はいい線をついている。狂乱のエレクトロ・レイヴと驚くほど複雑なジャズ・フュージョンの即興の70分強を通して、ジェンキンソンは目ぐるましいほどの創造のスピードを緩める気配をまったくみせない。2001年の「My Red Hot Car」でシンセの骨組を形づくった英国ガレージへの浮気心は残念ながら見当たらないが、「Menelee」「Steinbolt」といったトラックでエレクトロニックなハードコアと都会的なジャングリズムとのさまざまな変異体で新たな魅力を見せ、その穴を見事に埋めている。

   また他にも、ジェンキンソンがこれほどライヴ・インストゥルメンタルに情熱をかけるのは1998年の「Music Is Rotted One Note」以来となるサウンドも聴くこともできる。だがこれはいつも歓迎すべきこととは言えない。「C-Town Smash」で鳴らされる自己陶酔的なベース・ソロは、熟練したジャズを新たな笑いの王国に持ちこんでいる。しかし「I Fulcrum」ではサン・ラーが星々のあいだに残した遺産を、まだ未発見の銀河に運びこんでいる。また「Iambic 9 Poetry」はジェンキンソンのメロディーセンス――機械語による狂った音の混沌のなかで明快に響くチャイム楽器がうってつけの例だ――がまったく無傷のまま失われていないことを教えてくれる。(Louis Pattison, Amazon.co.uk)