冴えた笑い。
★★★★★
激烈に面白い。
集められているのは、現代のフォークロアとも言うべき、旧ソ連時代の小咄(アネクドート)。民衆は、このアネクドートによって「秘密警察や監視や密告を恐れ、従順に振る舞いながら、本音では政府や指導者を小話で痛烈に批判して、欲求不満を解消して来た」(「はじめに」より)。
とにかく冴えてる。
電車で一人読んでいたりすると、思わずにやけて笑ってしまうので、
変な人だと周りから見られかねない、そんな面白さである。そして、自分も小話を作りたくなる。手に取ることで寿命が大分伸びそうだ。
残念なのは、現在絶版となってしまっていること。
エリツィン時代までのものが集められているので、
ぜひ、プーチン時代まで加味した続編を求む。
粛正の嵐が吹き荒れる頃には、小話を言うことも、命がけだったという。現在、少なくともしょっぴかれることはなく、これを「冴えている」と笑うことができることの幸せを思うのである。