『Information Architecture for the World Wide Web』は、建築・図書館学の原理の、ウェブサイト・デザインへの適用について書かれたものである。ウェブサイトは公共建造物と同じで旅行者や常連に等しく開放され、気が向いたときに訪れてもらう場所なのだ。設計者の仕事は、快適で感じがよく、そこに来てくつろぎ、できればまた訪れてもらえるようなサイトの枠組みを作ることである。
ウェブ技術関連の参考書は、大半がサイトの美しさか技術面のどちらか一方のみを追求したものだ。本書はその両方を結合させるフレームワークについて述べたものである。本書を読めば、展開・操作・利便性をサポートするウェブサイトやイントラネットのデザイン方法を学ぶことができる。以下に挙げるのはとくに注意が払われた点である。
『Information Architecture for the World Wide Web』はウェブマスター、ウェブデザイナーはもとより、ウェブサイト作成に関わるあらゆる人に向けられた書である。本書を読めば、新人のウェブデザイナーははじめから不十分なデザインのサイトになら内容に工夫ができる。数々のサイト作成経験のあるベテランウェブデザイナーならばサイトの「物足りなさ」を改善することができる。HTMLやCGI、Javaに通じたプログラマーや管理者ならば、編集方法を学んでまとまりのあるウェブページを作成できる。
著者はウェブ・コンサルティング会社アーガス・アソシエイツの支配人の2人である。クライスラー、バロンズ、ダウ・ケミカルをはじめ、数々のアメリカ大企業クライアントのウェブサイトとイントラネットの情報アーキテクチャーを考案した。
(Book Description)
前版の倍のボリュームで、学術的にもビジネス的にもロジカルで分かりやすい記述がなされている。「IAって何?」から実際の構築方法まで、いたるところに具体例がちりばめられ非常に分かりやすい。巻末第VI部のマイクロソフト社のイントラネット事例研究は情報アーキテクトやエンジニアのみならず、中・大規模のサイトを抱えたマネージャーにとっても必見であろう。
「"Web"情報アーキテクチャ」というタイトルだが、Web以外の一般の情報の構造化に関しても非常に参考になる。前版よりも日本語訳がこなれてるのもGood。
個人的には第9章のシソーラス・メタデータ関連の説明をもう少し増やしてもらいたかったが、この辺りは言語依存するため訳本よりも日本語著者によるものを待つ方がよさそうだ。