ヴェリー・ベスト・オブ・ヴァン・ヘイレン
価格: ¥3,570
ヴァン・ヘイレンの2枚組ベスト『The Best of Both Worlds』(『ヴェリー・ベスト・オブ・ヴァン・ヘイレン』)の内容を想像するのは難しくないはずだ。ディスク1は、衝撃的なデビューでハード・ロック界を活性化し、1984年の、そう、アルバム『1984』で商業的にも頂点を極めた、デイヴィッド・リー・ロスが前面に出た作品の集大成に違いないと推測できるだろう。また、ディスク2には、デイヴィッド・リー・ロスの脱退後の1986年にサミー・ヘイガーをヴォーカルに迎えてからの作品と、ヘイガーの歌声によく似たゲイリー・シェローンが参加していたわずかの間の作品が集められていると想像することだろう。ところが残念なことに、このベスト・アルバムは時代を追った名曲集ではない。年代順に曲を並べて、ロスかヘイガーかの大議論のどちら側に立つかで進化とも退化ともいえるバンドの変化を見せるよりも、もっと奇抜な順序に並べる方法が選ばれている。最初の曲「Eruption」(邦題「暗闇の爆撃」)で若きヴァン・ヘイレンが生意気に文句ばかり放っていたのをはっきり聴かせると、とりあえず今回復活したヘイガーの歌うかなり退屈な新曲3曲が入り、流れをじゃまする。ロスとヘイガーの歌が交互に29曲続き、相変わらず流れはまったく回復しない。最後にロス時代の3曲をヘイガーが歌うライヴが収録され、混乱状態のまま終わっている。もちろんパワフルな音楽がたくさん詰まっているのだが、ふたつの世界の衝突から得た教訓を、ファンはほんとうに必要としているのだろうか? また、デイヴィッド・リーは、パッケージの中に写真を1枚入れてもらえるくらいの働きを果たしたのではないだろうか?(Steven Stolder, Amazon.com)