こういうのを読みたかったんだ!
★★★★★
初め一方的に溝口に口説かれ逃げ腰だった湊。
その湊の揺れる気持ちや、変化してゆく溝口への思いがとてもリアルで、
こんな作品は初めて読んだのに、あーこういうのを読みたかったんだなあと、心底思いました。
この作品は実際には2000年に出版されたもので、中身はこの新装版の絵とだいぶ違います。
現在の館野さんの絵に比べてしまうとどうしても稚拙で、人物がどんな格好してるのかわからないような
シーンもありますが、そんな事は全く問題にならないくらい素晴らしい内容でした。
後半に入ってる『本気。』も、とってもよかった。先生と高校男子の物語でよくあるシチュエーションかもしれませんが、
キャラがとても良くたってる。過去の失敗で臆病になってしまう大人に対して、若者の恐れを知らない潔さは
時に大きな救いになるのですね。
最近『恋は思案のほか』で館野さんを知りました。まだまだ私の知らない素晴らしい作家さんがいるんだなあと、
本当に嬉しくなった出会いでした。読んでない方は是非!