囲碁の戦術書ではなく、武宮先生の生き方・考え方について書かれた本です。
まさに自分流のそのスタイルには一種の憧れを覚えます。

囲碁が強くなりたい！と思って読む本ではないですが、武宮先生のファンなら息抜き程度に読んで損でないと思います。

囲碁ファン、特に武宮ファンなら、彼が「のびのび武宮」と

称され、囲碁・人柄ともにカラッと明るい棋士であることは

ご承知でしょう。

その武宮さんが、その生き方を明快な言葉にして披瀝したのが

この本です。


「清く楽しく美しく」・・・この言葉に彼の人生哲学が集約されていると思います。


「清く正しく」ではない。なぜなら囲碁にも人生にも

「正しい」などと言い切れることはないからだ、という

一言が、彼の人生観をよく表しています。

自らの感性を信じ、人に迷惑をかけない限り、「楽しさ」を

追求するべきだ、という彼のメッセージを読んでいると、

暗い世相が本当に吹き飛ばされるようです。

本の最後に、「家族には迷惑をかけてきた」という

ご愛敬がついていますが、現代の暗さに

飽き飽きしている方には、スカッとする本です。

「楽しく生きて囲碁も強くなる」
この本は囲碁の本というよりは、人生訓というか、人間のあり方のようなものを説いている本です。
自分が読んでいて、とても納得した部分は
「心配してもしなくても結果な同じ」「私は人を羨まない」「身のほどをしる」「忘れる力」などなど。
いずれも、武宮九段が碁盤から学ばれてきたことのようですが、囲碁を生業をしていない人にも大変参考になる話ばかりです。一読をお勧めいたします。