限界に近い地点での美学
★★★★★
和歌集としては 最高傑作だと僕は思っている。
人によっては 万葉集の大らかさが好きな方もいるかと思うが 僕としては 和歌自体が 文字数の限界もあり 極めて高度に技巧的な「詩」であると考えている。
その技巧という面で捉えると この新古今和歌集が超絶的ではないかと感じる。
この和歌集が見せる「美学」は ある意味では退廃的であり 危ういものも時として感じる。但し「腐りかけ」の美味しさとは 食べ物だけではない。限りなく退廃に近い「美」というものが 実に良く分かる。
僕らは「耽美」という美しい言葉を持っている。美に耽るということは おそらくは危険なのだと思う。それでも「耽ってしまう」こともあるのかもしれない。昔の人が耽った「美」の一つが この本だ。