本書執筆のきっかけになったのは、著者自身が死を覚悟した体験です。「ガンではないか」と自分で疑った時、もし自分が死んでもすぐに新しい母がきて子供も夫も問題なく過ごしていくに違いない。ああ、これですべてから開放される、と晴ればれしてしまったとのこと。
ずいぶん楽観思考だな(笑)と思いますが、40代に突入した著者は、「今日が最後の日だと思って楽しく生きるほうが、人生ずっとラクに生きられるんじゃないか」「幸せとは、何はともあれ疲れていないことなのではないか」と気づきました。
この「まえがき」に書かれた、著者自身が深く人生を見つめなおした経験にはグッと来ました。これは「生き方を考える」という内容だな、と予想してPART.1に読み進んだところ、本文は趣きが違っていました。むしろ「疲れないで過ごすための心構えとノウハウ」で、著者自身がどうやって生活しているか、ということに重点を置いています。著者のライフスタイルに共感する人は、とても参考になるのではないでしょうか。
ただ、私とは生活の仕方が違いますので、私自身の感想を言うと、「ちょっと手抜きし過ぎじゃない?」というのが正直なところです。
たとえば、著者は、子育てで頑張りすぎないためにフィリピン人のベビーシッターに子守りを依頼しています。どこかにちゃんと通ったことがあるのは義務教育の期間だけだから、保育園にあずけるために毎日の送り迎えをするのはムリ! というのがその理由です。著者のライフスタイルを参考にしようと思ったら、頑張らないでもやっていける収入が必要です。
これでは、お金に余裕のある物書きが、「私の生活いいでしょー」と見せびらかしているに過ぎなくなるのでは? タイトルも「私は幸せでラクチン、何が悪いの!」がふさわしくなってしまいます。
せっかく良いこと書いているのに、もったいないように思うのですが……。