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社会思想史を学ぶ (ちくま新書)

価格: ¥756
カテゴリ: 新書
ブランド: 筑摩書房
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不透明な時代だからこそ必要な原点が凝縮 ★★★★★
本屋さんでは色々な自己啓発本やハウツー本が並んでいますが、不透明な時代のいま、哲学や歴史が見直されていることには同感ですし、ついついこの本に手が伸びてしまったのもそんな理由からです。

本書は、私のような社会思想の初心者にも平易に書かれており、非常に読みやすい良書です。

近代啓蒙、リベラル思想にはじまって、かの有名なサミュエルハンティントン教授の文明の衝突、グローカル。こういった具体的なテーマから紐解いて、様々な社会思想がうまれた時代背景がつかめます。

とっつきにくいテーマにも関わらず、非常に分かりやすくコンパクトにまとまっており、他に読んでいた本ともクロスして、より深く読んでみたい一冊がこの中から見つかりました。
「進歩史観」の呪縛を解く ★★★★☆
「社会思想史」とざっくりとしたタイトルになっているが、本書の軸をなしているのは「進歩史観とその克服」というテーマである。
進歩史観は耳にはするがあまりきちんと理解されておらず、その割に知らず知らずに滑り込まれて影響を及ぼしている思想である。
その歴史的系譜をきちんと踏まえた上で、進歩史観をどう乗り越えていくかというのが本書のプロジェクトであろう。

そうした点から、本書は正統どころではヘーゲルーマルクスからの、最近だとフクヤマ、ハンチントンあたりも触れている。
珍しいところではスピノザやベーコンに字数をかけたり、ドーキンスの生物学からの派生などを取り上げている点であろう。
ギアツからガダマーーリクールラインの解釈学に持ってきて進歩史観に対峙させようとするのも面白い。

ただ、多くのことを扱おうとしすぎていて、一つ一つの内容が少なく、そしてある程度知識のある部分についてみると記述の荒さも目立つ。
特にフクヤマ、ハンチントンあたりをばっさり切っているのだが、筆者のいうほど彼らの主張は単純なものではないというのが私の主観である。

また、細々と現代の政治についてやたらと断定的な記述があるのも気になった。
例えばイラク戦争が間違ってるのは当然だと、ほとんど論拠もあげずに書いていたが、確かに積極的に賛成は私もしないが、かといってではあのときにどういう手段を取りえたかを考えると極めて難しい問題で、そう簡単に一方的断罪が出来るとは思えない。
そういう端々で自分の意見を論証もせずに出すと、全体に入りにくくなる感じを受ける。

そういう細かい点が気になったので☆一つ減点したが、全体には上手くまとまったいい本だと思う。
思想関連の知識が整理できる本 ★★★★★
他のレビューを読むと、何やら小難しいレビューが書かれていますが
本書は大変読みやすく、わかりやすい本です。

ホッブスやロック、カントあたりからマルクス、フーコー
現代思想のアドルノやハーバーマスあたりまで
とにかく上手く整理されていて、引っかかったり
つまずいたりすることがなく最後まで読みとおすことができます。

思想的なことに興味があるのだけれど、人名とその思想が
一致しなかったり、頭の中でこんがらがっているというような方は
この本をお読みになれば、大変にクリアーになることと思います。

簡単なことを売りにする本にありがちな、読者に変に媚びるような
書きぶりやウケを狙うような言い回しといったものはなく
ある程度の格調を保ちながら、日本語として読みいい文章です。
そういった意味でストレスなく読みとおせました。

入門書の手本であるような本だと思います。
直近の時事問題までにも言及して展開するvividな社会思想史 ★★★☆☆
社会思想史とか、哲学史とか、だいたい、射程がでかくて、「最近」と言っても戦後、冷戦ぐらいまでしか話が及ばないことが多いが、本書は違う。扱う「現実」の話題は、前世紀末期から今世紀初頭で、鳩山内閣への期待の言及が出るほどに「直近」を視野に入れて展開する社会思想史。近代思想の大所を勿論しっかり語りながら、前世紀末期の大小のオピニオンリーダーの意見を一応公平に且つ妥当なところで判断して扱うバランス感覚と博識には驚嘆したい。文章も滑らかでよどみがない。そんな訳で新書版の作品としては、何もかも揃っている気がする。そのうえ、著者の同世代なら、マルクス主義、左翼の尾ひれがしっかり残っているのが普通で、はなしも左的な思考に傾斜するものだが、著者は違う。むしろ、ヘーゲル、マルクスは、やや時代が過ぎた思考として、カントをより評価する。無理にカント=マルクス路線をにしないところが、臭みがないところと言えばそうなる。物足りないのは、本書をリードする価値観で、各文化各国の立場の尊重と理解、差別思考の撤廃、進歩思想の批判、といったもので、これに「やや安易な相対主義」への批判がある、というぐらいだ。これでは、中学生でも馴染み深い「道徳」で、へっぽこ代議士が誰でも叫ぶような、当り障りのない100点満点の価値観だ。これを基軸に、「思想史」を整理されても、話の方向が見えていてがっかり。「整理」されてしまった社会思想の古典たちは、実は、相当にやっかいな人間の内面や、社会との葛藤や、リスクへの処方箋など、苦労しながら語っている部分が魅力な訳で、分かりやすくはないが、それゆえに却って胸を打つものが多い。ヘーゲルもフーコーなども、これで良いのかと思うくらい角が取れ、彼らが悩み立ち向かった姿は見る影もない。魅力ある思想史をどう書くかは大きなテーマだが、どうも本書の方向には無いように思える。
「いま、ここ」をとらえ、未来を見通す ★★★★☆
 80年代以降の激動が激しく、不透明感を増す世の中にあって、「未来社会を構想するための、過去の思想の蓄積との対話である」社会思想史を学び、その明快な俯瞰図を示し、明日への指針を見出す一冊。
 やや難解な部分もあるが基本的には明晰な文体であり、丁寧に読んでいけば論旨を見失うことはあるまい。 
 ベーコンによって幕を開けた近代思想から、ヘーゲル、マルクスといった大御所から、ダーウィンやドーキンスなども拾い上げ、現代の『文明の衝突』やフランシス・フクヤマまで論じ上げ、その意義と課題とを明らかにする。そこから「グローカル」な観点から、「公共的な価値に寄与する学問」としての発展を目指す。 
 近代以降の社会思想史をダイナミックかつ現代的に理解することができる、やや抽象的かつ「進歩主義的」な色合いを帯びた、一つの優等生的な思想史であるといえる。