ファットボーイ・スリムことノーマン・クックのファースト・アルバム。1996年作品。日本盤には2曲のボーナス・トラックが入っている。

遡ること約10年WindowsのPCソフトにAcidという画期的ソフト・ウエアが登場した。サンプリング・データをPC上で自在に操れるこのソフトにたくさんのミュージシャンがサンプリング・データを供給した。それが『Loops For Acid』だ。その中にノーマン・クックの作成したデータがあった。今でも大事に使っているがビル・ラズウエルとこの人のデータはかなり光っていた。Appleが純正で作ったSoundtrack Proのアイデアは完全にこのAcidから来ていて、『Loops For Acid』のデータは全てSoundtrack Proでそのまま使える。

そんな風に自分で音楽を作っている連中にとってこのアルバムはまるで教科書のようである。もの凄く参考になる。僕にとってはそういう作品で欠かすことが出来ない傑作である。

サンプリングを多用しながら、キャッチーなテクノダンスビートに仕上げている。ビッグビートも感じるが、やはり＝ケミカルブラザース、プロディジー系列か。『遊びの精神が』随所に感じられそのへんが非常に興味深い。いかにかっぱらうかが、そのセンスが問われる＝サンプリングソース＝音楽の製作方法が新たな局面にはいったのを示すもの。
１０点中８点

やはりファットボーイスリムのノーマンクック師匠も進化してるから、新しいアルバムの方がいいかなあとは思うけど、その進化の元をたどってみたくなるもんですよね。このアルバムは歌ものが少ないです。BIGBEAT全盛期の逸品。ケミカルより親近感があるのはソウルを感じてしまうから？