アメリカでのDVD評は概ね好評ということで、それを信じて手にしました。しかし私としては期待が大きかった分、その荒削りの台本には少々不満が残りました。
ダニー・パーカーには確かに隠された秘密があります。彼が麻薬取引という大きな闇の世界に足を踏み入れざるをえなかったその意外な事情には、男として同情するべき点も少なくありません。
しかし、この物語にはサブ・プロットして、アパートの隣人コレットとの交流が描かれるのですが、それがひどく喰い足りません。短兵急に攻め立てる展開には、驚きよりも戸惑いを感じました。コレットにデボラ・カーラ・アンガー、そのボーイ・フレンドにルイス・グスマンという個性どころを配しながら、この程度の扱いに終わったのは残念です。
脚本担当のトニー・ゲイトンはまだまだ。そもそもこの脚本は自身をライターとしてハリウッドに売り込むためのサンプル品だったとか。それが思いもよらず映画化されることになったということですが、やはりもう少しブラッシュ・アップが必要だったと思います。この映画に続く彼の脚本作品「完全犯罪クラブ」もいまひとつだったなぁということを思い出しました。
冒頭、戦中戦後の日本での覚醒剤蔓延の様子が語られている。2発の原爆の話が冗談として語られていたことが、心に大きく引っかかった。