原曲に一番近い演奏
★★★★☆
わたしの手元にあるのは、このバラ売り盤ではなく、全曲集である。
その中で、一番のお気に入りが、この「田園」だ。
このピアノバージョンを、原曲のオケバージョンと聴き比べてみると、全9曲中、一番原曲に近い演奏内容になっているように思う。
特に印象的だったのが、第2楽章序盤の、主旋律とトリルの弾き分けと、ラスト近くで、野鳥(かっこう、うずら、ナイチンゲール)の3重唱が、実に見事に表現されていることである。この2点は、カツァリスのスーパーテクが、最も発揮されている部分だろう。
また、第5楽章の、コーダに入る直前の盛り上がりも、すばらしいの一言。この感動は、オケバージョン以上かもしれない。
カツァリスは、リストがアレンジしたこの曲を、より原曲に近づけるべく、さらに自分で手を加えて弾いている。
その超人的なテクニックには、ただ脱帽するばかりである。