後編は中級
★★★☆☆
前々から漢文には興味があり、もっとその美しさを味わいたいと思って手に取りました。手引き書のような紹介文だったので、これなら読めるかもと思いましたし、近代の著名な詩人、三好達治も後編を担当したので、漢詩の世界を十分に楽しめるだろうと、そう考えていたのですが……
前編の吉川幸次郎氏の解説は懇切丁寧で、ド素人の私でさえ詩を通して情景や心境を語ってみせる詩人達に感情移入できるほどでした。一行一行、分かりやすく解説し、織り込まれた故事や逸話まで紹介されるので読むのも非常に楽です。中国の奥地、荘厳な風景や鮮やかな景色が目の前に浮かんでくるようでした。この前編は☆を何個つけても良いくらいだと思うんですが、やっぱり後編に少し問題があるような気がします。
後編は、前述した三好達治氏が担当していたのですが、こちらの解説は手引き書にしては不親切で、入門者が本当にこれが読めるのかと、疑問に思います。結局20ページと行かないうちに挫折してしまいました(私に理解力がないとも原因の一つではあるのでしょうが)。また、専門家である吉川氏に対して三好氏は詩人。漢詩本文に対する知識量も吉川氏の文章と比べると少ないように感じられます。
解説も個人的で、漢詩を一つ載せた後具体的な解説もなく、
『これはこういった風景を描いた詩です。それは読者も感じられたと思います。私は読んだときとても感動しました。三行目は何々を描いた物で、これに続く言葉は……』
と、語句の意味を述べる訳でもなく、個人的な感想になっていました。情景に関する記述も曖昧で解説にはなっていない様な気がします。
前編は非常に面白かったのですが……また、漢詩に関する知識を頭の中に入れてから後編を読み直してみようかな、と考えています。でもやはり、私の様なサラの漢文ド素人が読むべき本ではない事は確かだと思います。