言葉の持つ力を再認識しました
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上司や部下、友人……さまざまな人間関係の中で、ちょっとした日本語の表現が関係をよくしてくれたり、反対に悪くしたりするということを、あらためて教えてくれる本です。
時代の流れで、日本語の表現はすこしずつ変化しているのかもしれません。しかし、日本語ならではのやわらかな表現は、日本人が古来から育んできた美学です。国際化社会の中で、若い世代の人たちもどんどん海外に出ていくことでしょう。しかし、日本人として母語を大切にし、美しい表現を守ることは、人間を豊かにしてくれるものでもあるのです。
日本語のすばらしさをもっと知りたい、そんな気持ちにさせてくれる一冊でした。子どもの英語教育も大切ですが、まずは日本語ですね。これから社会に出る、若い世代の人たちに一読をすすめます。
自分の日本語、考えさせられました
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日本語を始めとする語学についての本を何冊か読んで参りましたが、この著書は色んな観点から日本語のアイデンティティーを読み解いていて、新鮮かつとても面白く読めました!
特に『組織の中の日本語』と『女性の日本語』という章はとても説得力があり、共感、痛感、納得といった感じでした。
先日子供を授かったばかりですが日本語の使い方が問題視される中、親としても読んでおきたい一冊だと思いました。
日本語のよさ
★★★★☆
言葉というのは、何語であっても、理性と感性、論理と感情、二つの性質を併せ持ち、その橋渡しをするものである。日本語とてその例外ではない。本書は日本語の性質のこまやかな美しさを論じ、また組織や家庭でのコミュニケーションを円滑にする方策を指南するものである。
本書によると、主語があいまいではっきりさせず、感情を伝えあうのに向いているという。さらには、思いやりの深いコミュニケーションを可能にし、理由を論理的に並べ立てないで、感性を共有させ、心の安定を得るのだとする。日本語の特徴はボキャブラリーや擬態語の豊かさにある。しかし、もちろん意味もなく日本語ばかりが素晴らしいというのではなく、また英語が全てでもなく、どの言語もそれぞれ特性や良さがあるのであり、日本語もあいまいさと明確さを使い分けることができる。しかし、伝統文化や"MOTTAINAI"やサブカルチャー用語のように、日本語を世界に発信することもしていくべきである。
おおよそ以上が本書のエッセンスである。基本的にオーソドックスで、極めて斬新というわけではないが、それこそ誠実で穏やかな筆致で、多くの事例を踏まえて述べているので説得力がある。ただし、「日本『語』の特性」と「日本『文化』の特性」が時に混同されているきらいがある。このあたりはもう少し注意が必要だろう。
本書の白眉は、ジェンダーに関する部分であろう。「やりたいことを押さえ付けるのに『女の子だから』を使ってはいけないが、よい方向に伸ばすためならよい」というのが筆者の基準であり、また「できないことを責めるときに『男のくせに』を使ってはいけないが、弱い者いじめなどしてはいけないことを教えるためならよい」。バランスのとれた、筋の通った主張である。
思わず和む言葉の使い方
★★★★★
「女性の品格」の著者がすすめる日本語ということで読んでみました。
日本語はあいまいで分かりにくいと批判されがちだが、実はそのあいまいなゆるさが
人の心を和ませるのだと、日本語の優れた面を紹介している。
実際に職場や友人、就職の際にどのような日本語をつかうべきかユーモアを持って語られている。
とくにほめ言葉の男女格差や、錯覚・盲点には、納得いくものがあった。
さっそく実践してみたいと思えるフレーズもあり、面白く役に立ちそう。
凛とした印象のある坂東真理子氏だけに、あいまいなゆるさがいいという考えは意外だが、
ぎすぎすしたストレス社会にマッチした言葉の指南書だと感じる。