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罪火

価格: ¥1,575
カテゴリ: 単行本
ブランド: 角川書店(角川グループパブリッシング)
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横溝正史ミステリ大賞受賞第一作。加害者の立場から殺人犯罪を描く ★★★★★
■若宮忍は三重県伊勢市に住む35歳の派遣労働者。彼は少年院出身者だ。中学のときシンナー遊びの果てに普通の少年を殴り殺したのだ。唯一の身よりの母親は寝たきりで自宅療養していたが、半年前不審火で死んだ。表面上は更生している若宮だが、内心では自暴自棄と破滅願望で誰か人を殺して自分も死んでやろうという暗い決意を秘めていた■彼のもとには、修復的司法実現を目指している町村理恵と花歩の親子が出入りしている。理恵は59歳、花歩は13歳である。「修復的司法」とは「犯罪被害者と加害者が直接対話することで解決の道を探ること」をいう。町村親子は、若宮が20年前に殺した少年の遺族と若宮を対面させようとして世話を焼いているのである■若宮は、実は花歩を犯して殺すことで自分が破滅するように計算していた。ところが、花歩はよりによって若宮に恋心を抱いていた。告白されて動揺する若宮だったが、結局花火大会の夜、花歩を殺してしまう。目撃者はおらず、証拠もない。しかも、花歩の担任教師が死体の花歩を犯したことが判明し逮捕された。当然殺人の嫌疑も教師に向けられた。若宮は自首せず、逃げおおす道を選ぶことにした■だが思いがけぬ事態が重なり若宮の隠ぺい工作がほころび始める。そして待ち受ける衝撃の結末―。真の贖罪とは? そして犯罪被害者救済の方途とは? 今日的な課題を鋭く描く問題作である。

おもしろかった。 ★★★★☆
ふだんあまりミステリーを読みませんが、とあるきっかけをいただいて、雪冤と罪火を読ませていただきました。 雪冤を読んでいくのは時間がかかりましたが、罪火は二作目ということもあってか、非常に読みやすくなっていたように思います。 で、2冊の作品があってこそ作者の意図するものがあるのかも? なんて感じています。 今住んでいる伊勢が舞台となっていて、非常に親近感もあります。
事件の関係者の心理がリアルに描かれていた ★★★★☆
殺人事件の犯人である若宮忍と、若宮に殺害された娘の母親で小学校の校長を勤める町村理絵。この二人の視点が交互に切り替わりながら物語が展開されていく。
本書では殺人事件の犯人は最初から分かっているのだが、殺害に至った過程や、殺害したあとの罪の意識に苦しむ加害者の様子、我が子を殺害された被害者の苦悩や、自分の教え子を信じたい気持ちなど、事件の関係者の心理がリアルに描かれていた。
また、町村は修復的司法という犯罪の被害者と加害者が対話をすることにより、加害者の謝罪の気持ちを被害者に伝え、被害者の痛みを和らげる活動の仲介役をしていた。彼女が実際に娘を殺害された状況で修復的司法に関する考え方がどう変わるのか、修復的司法の有効性についてもきちんと著者の意見があり、読み応えがあった。
ここまでミステリー ★★★★★
伊勢神宮の奉納花火大会の「仕掛け花火」のような、素晴らしいトリックミステリー
だと思います。恩師の教え子である「犯人」の人生模様との心理状態が大変面白い。

現代の世相を「斜め見」してハラハラするストーリーに、引き込まれます
優れた倒叙ミステリー ★★★★★
『雪冤』は荒削りだが力強い意欲作で私は高く評価していた。
今作品はそれとくらべ、スケールでは劣るものの
文章力、緻密さ、心理描写など完成度では明らかにその上を行く。
特に私が高く評価するのが主人公若宮の心理描写だ。
今日の新聞に死刑確定者の手記が出ていたが、その心理が
この作品を読むと理解できる気がする。恩師である町村校長との対比もいい。
またミステリー的な視点からも優れている。ぐいぐいひきこまれ最後にやられた。
読後感もよく、新しいタイプの優れた倒叙ミステリーだ。