前回のアルバムで幅広いファンを獲得したサクソフォン奏者、ボニー・ジェイムス。人々が彼に求めることは唯一つ:人との集まりやたわいないおしゃべり、そしてロマンティックな気分に浸りたいときに必要な、雰囲気のあるBGMだ。この6枚目のアルバムでも、ジェイムスはテノー、ソプラノ、アルトサクソフォンと使い分けながら、期待を裏切らない曲を忠実に届けてくれる。全9曲(全部聞くと42分強)を通して洗練された控えめで滑らかなムードを保っている。オープニングは、チェレ・デイビスのハスキーなヴォーカルがバックに流れるスローでグルーヴィーな「Are You Ready?」 。R&Bシンガー、シャイがもう少し前面に出てささやくように歌う、甘くて心地のよい「I'll Always Love You」。ジェイムスのテノーサックスとリック・ブラウンの落ち着いたインタープレイが聞ける「Boneyizm」はこのアルバムの中で一番魅力的なナンバー。辛らつさやとっぴさ、斬新さなど特筆するべきこと見られない。ただただ心が引き寄せられるような、耳に心地良いアルバムだ。