裸の女王様
★☆☆☆☆
先の方が書かれているように、この人の文章は、ほとんど「散文」。
いいところ突っ込んでいるようにみえるんだけど、結構それは錯覚で、
その根拠とかはほとんど示されない。
最後には「そう思うから、そうなのだ」的な、ムチャクチャ、強引な押しつけ。
この著者のほかの著書と比べてもそうですが、
結局、知ってることは知ってるけど、知らないことは何にも知らない。
その「知らないこと」に、何らかの努力をしてアプローチするならまだしも、
そういうことは一切しない人なんですね。
それが主義なら仕方ないですし、買う人の好き好きですが、
ものを書いて持論を展開する“ジャーナリスト”の姿勢としては全く評価できません。
しかし、この文章、内容で、シリーズ連発する毎日新聞社はどうなってるんでしょう?
内容の吟味も、文章の校正も、ほとんど著者原文のままって感じです。
相当わがまま、女王様気取りの著者らしいですが、
こうやって周囲が何もいってあげず、好き勝手やらせているから、
つけあがっちゃっているんでしょうね……。
“裸の女王様”、ある意味気の毒な方かもしれません。
読みにくい…
★★☆☆☆
読みにくい。
まずは、うんざりするほどの「改行の多さ」。「1センテンス1改行」と言っても言い過ぎではない。P43などは特にひどく、「これは“詩”か?」と突っ込みたくなるほど。編集者はこういう文章をなんとも思わないのだろうか?毎日新聞社の校正教育はどうなってるんだ?
車両諸元も「本文中に縦書き」。諸元だから数字も多いのだが、それが全部漢数字。当然読みづらい。図表を使おうという発想が浮かばないところ、センスを疑う。
しかし、何よりもの読みづらさは、筆者の「オタク性」によるところが大きい。
くどく理屈っぽい、ヒートアップを止められない(「私が京王のオーナーだったら…」。苦笑。)、同じ内容を繰り返す、注釈抜きで専門用語や略語を多用する、おかしなこだわりがある(「都営新宿線」は「都交新宿線」がどうしても譲れないらしい)、妙に「上から目線」である…等々。
「民鉄はだれの物か?この答えは明白である。線路の砂利の一個まですべて株主の物だ。他に所有者などいない」
…やっぱりこの著者は好きになれない。
参考になる点もあるが欠点も目立つ
★★★☆☆
京王電鉄について多角的に論じた本である。
いい点は、京王という会社を単なる鉄道会社と捉えず、グループ全体を論じている点である。
連結財務諸表を見れば京王にとって鉄道事業は柱の一つ(無論重要性は高いが)にすぎないが、本書でも指摘されているとおり、鉄道ファンはそのような視点を持っていない場合が多い。京王というグループ全体から鉄道事業を捉えるという視点は類書にないメリットである。
一方、専門用語が何の説明もなく出てきたり(平行ダイヤ、都交、スジ、YG現示など)、出典や根拠が不明確で検証不能であったり(戦前の東急への京王の合併を巡る独自見解など、陸上交通事業調整法により中央本線以南の陸上交通は東急を統合主体として整理統合が行われたという通説を覆すだけの根拠に乏しい)するなど、欠点も多い。本書がそもそも鉄道マニア向けなのか(車両運用に50頁を割く点からみるとマニア向けか)、もっと一般向けなのか、焦点が絞られていないが故の欠点かもしれない。