怪鳥伝説
★★★★★
モータースポーツの世界では今じゃ当たり前のダウンフォースという考えはシャパラルが元祖といっていいと思います。他にも自動変速ミッションとか、サクションシステムなど、60〜70年代初頭のレーシングシーンにおけるシャパラルの革新性は突出しています。
同じ作者によるシリーズの第4作めで、前の3作に比べて取り上げる素材がマイナーかもしれませんが、個性が際立つマシンの数々は見ていて飽きることがありません。シャパラルを創ったジム・ホールという人物像にも注目です。
作者がCG誌に自身が描くイラストとともに登場したときは新鮮でした。古今東西の文献、記事を調べ上げて、それらをつなぎ合わせて分析するというのはそれまでにはなかったスタイルです。もう少し作者の文章がうまければパーフェクトなんだけど(「だが」とか「しかし」とかの使い方がうるさい)、如何にも理科系の人が書いたという感じがして、それも個性といえるかもしれません。これだけの内容をまとめあげた、その労力と執念に感服せざるを得ません。