前衛的なテクノロジー路線・第2弾!!!
★★★★☆
1993年、U2のアルバムです。
(「Achtung Baby」(1991) → このアルバム →「Pop」(1997)の流れです)
90's U2の、テクノロジー路線・三部作の2作目になるのが、このアルバムです。
テクノロジー三部作の中で、最も実験色が強く、シンセサイザーetcのデジタルサウンドが多いのが特長です。
また、楽曲も抽象的であったり、Bonoの歌唱もファルセットが用いられていたり、
。。。ということで、旧来のU2ファンからは嫌われるアルバムでもあります。
しかしながら、「U2ということ」を無視して聴くと、素晴らしい音世界を体験できます。
そして、その音世界のシリアスさ・シュールさに、「やはり、U2」と唸らされるアルバムです。
ミニマムな音世界に、温かい歌がのった、tr. 2
The Edgeが、ボソボソと説法のように、「〜してはいけない」と繰り返す、tr. 3
Bonoのファルセットが突き刺さる、tr. 4
「生まれて初めて、僕は愛を感じる」と歌う、深い感動を与える、tr. 8(コレ1曲で、ヒューマンドラマですよ)
Johnny Cashが、Lead Voで参加した、tr. 10
。。。など、濃い楽曲が並びます。
決して、「Happy」「気分爽快」「楽しい」といったアルバムではありません。
むしろ、「無」「虚しい」雰囲気のアルバムです。
ただ、「無」の音世界の中で、U2が語る「資本主義」や「愛」に、真実があると感じます。
たまに聴くと、「なぜか、スッキリ!」する瞑想的なアルバムです。
まず、「U2ファン」に、オススメします。
「1回聴いたけど、あまり。。。」「昔聴いたけど、あまり。。。」な人も、時間を置いて、たまに聴いてみてください。
絶対、「いい!」と感じる瞬間が、やってきますから!
他には、「前衛的な音楽が好きな人」に、オススメです。
(中古盤、激安です。。。が、決して「使い捨て音楽」ではありません)
刹那いラブアルバム
★★★★★
U2の歴史の中では大して評価されていないみたいですが、
アクトンベイビーによりロマンティックを足したような刹那いラブアルバムになっていると思います。
今ではライブのセットリストにステイしか組み込まれませんが、
ZOOTVの時のレモンとダディズガナペイは大興奮の勢いがあります。
U2が星に届いた瞬間だったと思います。
POPまでを三部作と言われますがそれには何か違和感があります。
音楽の種類的にはHOLDMEを完結として、POPは新しい時代かなと思います。
1993
★★★★★
大がかりなシステムでテクノロジーを駆使し、マルチメディアを意識するとともに、オープニングにDJを起用した"ZOO TV TOUR"により始まったロックの進化形、未来型への模索。本作は、クラブ・ミュージックの要素を大胆に取り入れ、デジタル・ロック、ビッグ・ビートなどテクノやヒップホップ(ブレイクビーツ)の手法との融合により未来型をめざす動きの出発点となった。
深遠なアルバムですよ
★★★★★
「ヨシュア ツリー」「魂の叫び」を経て、コンピューター音楽を積極的に取り入れることに成功したU2。その中で深遠な世界観を展開しているようなアルバム。
その中での「NUMB」はおもしろい曲だ。エッジが曲の中でひたすら「DON’T ○○」つまり「○○してはいけない」を繰り返すだけの歌詞。最初から最後まで、こればかり。これは、もしかしたら、お釈迦さんの小乗教の「戒律」に影響を受けてのものなんじゃないだろうか(逆に皮肉っている?)。たとえば、動物を殺してはいけない、欲望を持ってはいけない、などの。
曲としても、ずーっと単調な感じで続いており、お経みたいだし。もしかしたらお経の「南無」をあらわしているのでは。
しかし、これも上記で言った、深遠な世界観をかもし出す一曲になっており、とってもかっこいい曲だ。
それにしても、「アクトゥンベイビー」で方向転換を打ち出し(成功し)、「魂の叫び」のビデオの世界とは、まったくかけ離れたところへ行ってしまった(この頃の)U2。これからどうなってしまうんだろうと、このアルバムを、宇宙旅行をしているかのような気持ちの中で、聞いていたものだった。
それはそれとして、集中して聞いてもらいたい一枚ですね。
U2らしくないけどU2らしいアルバム
★★★★★
第一印象では彼らの他のアルバムとは比較的にならないほど無機質な印象を受けた。エッジのギターにしろラリー&アダムのリズムワークにしろ、そしてボノの歌声さえもが、感情を押し出すことなくデジタルで構築された世界を壊さないよう、そのパーツの一つでしかない、といわんばかりである。
熱き理想を誇り高く掲げた「Joshua Tree」や愛と情熱に満ち溢れた「All That‾」などに代表される彼らのイメージとは程遠いサウンドだ。だが、何度も聴いているうちにそういった無機質な音像の裏側に「美しさ」や「優しさ」が潜んでいるのが分かる。ちょっとしたピアノやギターの1フレーズから時折顔を覗かせるだけで、決して主張しない。シンプルなピアノとシンセの単音フレーズが美しい#2"Baby Face"と#4"Lemon"、ボノの幼少期の思い出を綴った#8"The First Time"など、そこにはやはりU2の「愛」が込められている。それに気づいた時「あぁ、やっぱりU2のアルバムだ」と感じずにいられない。
とはいえ、本作品はマクフィストに扮したBonoが皮肉たっぷりに、ぶくぶくと肥え太った資本社会への警告を前面に押し出した作品であることも見落としてはならない。U2が単に愛を歌うだけではない社会派として世界に認知されていることを最もよく知ることのできる一枚だろう。