もっと多くの人に聞いて欲しい1枚
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ウェストコーストの陽性の雰囲気とどこか影のあるジャクソンブラウンの
歌声が絶妙な深みを感じさせる名盤です。
リードギターもまた染み入るような音色で
私にとっては一度聴いたら魂を鷲づかみされる数少ないアルバムです。
透き通るような青い空と薄暗く街頭の点る家と一台の車は
アルバムの内容を代弁しているようなクールなジャケットで秀逸だと思います。
アメリカ 内省
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このうちの1曲は名画タクシードライバーで使われているのですよ。
西海岸系シンガー・ソングライターの代表選手
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近年の地味過ぎる作風のためか、ほとんど忘れ去られたかのような存在ですが、イーグルスのデビュー曲、Take It Easy をグレン・フライと共に書き上げたのはこの人であり、他にも多数の名曲を生み出しています。初期からこの作品の次作、THE PRETENDER くらいまではしみじみと効いてくるいい曲をたくさん生み出し、いわゆる西海岸系の曲のいかにもな部分を担っていた重要なソング・ライターでした。もちろんそれ以降の作品も素晴しいのですが、重苦しい部分が目立ちはじめ個人的には孤独なランナー以降の作品はほとんど聴いていません。初期に当たるこの作品と前述の THE PRETENDER 甲乙を付け難い作品でどちらもお薦めなのですが、広大な景色が思い浮かぶかのような楽曲がより多く詰まったこのアルバムの方が少しだけ抜きん出ていますかね?
悩みを乗り越え、新たな旅立ちへ
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このアルバムのタイトル曲を初めて耳にしたのは、映画『タクシー・ドライバー』の一シーンだった。ちょうど30を過ぎた頃、個人的に色々と悩みを抱え鬱々としていた時期で、映画の中のR・デ・ニーロ演じるトラビスと自分を重ね合わせたりしながら何度も見たものだ。その中、トラビスが拳銃を片手に見るテレビ番組(おそらく「ソウル・トレイン」)で流れてくる曲が、'Late For The Sky'。
決して派手なアルバムではないし、ポップな流れがあるわけでもない。ただ静かに自分や周囲を見つめたい時、この作品中のメロディーは静かに自分の中に沁みこんで来た。4曲目の'The Late Show'後半で、早朝、車のドアを閉める音がして、エンジン音の中曲が終わる。悩みの中からの新たな出発を連想させ、静かに自分の中に新たなエネルギーが少しずつ湧いてくるのを感じた。
次作の"The Pretender"も重いが深い重要作。
前向きで、やさしさに溢れた名盤
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74年発表、ジャクソン・ブラウンの3rdアルバムにして、ロック史に残る名盤『レイト・フォー・ザ・スカイ』。
本作はシンガー・ソング・ライターとしてのジャクソンでなく、ウエスト・コースト・ロックを代表するアーティストとしてのジャクソンが感じられる作品です。バックを支えるメンバー達の絶妙な演奏がジャクソンの感情のこもった歌声、歌詞により深みを加えています。
歌詞やメロディからは痛いほど悲しみが伝わってくるのに、 “さまよっていた君だけど、もう大丈夫だね。また君の笑顔が見れて、とてもうれしい。” という優しさに溢れたフレーズが涙を誘う「悲しみの泉」。 “朝になれば、僕はまた歩き始める。地図と、固い信念とともに。” 孤独を感じながらも最後には前向きに歩き始める「もっと先に」など、旧A面の4曲はどれもしっとりと聴かせる名曲です。
旧B面はアップ・テンポのロック・ナンバー「道と空」「ウォーキング・スロウ」の2曲がアクセントになっており(曲調同様に自分を励ますような前向きな歌詞にも注目です)、ラストの「ビフォー・ザ・デリュージ」も完成度の高い名曲です。
個人的に本作中、最も思い入れの強い曲が「ダンサーに」です。その曲の終盤の、
“出発点から終点までの、どこかにきっと生きる為の意味が隠されているだろう。ただ、君はまだそれに気付いていないだけ。”
というフレーズが一番心に残っています。初めて聴いたときもそうでしたが、この曲だけは何度聴いても涙が溢れてきます‥‥。
『プリテンダー』も名盤ですが、私は本作がジャクソン・ブラウンの最高傑作だと思います。興味がある方は、素晴らしい歌詞が楽しめる国内盤がオススメです。感傷的なレビューになってしまいましたが、本当に、音楽を愛する全ての人に聴いてもらいたい名盤です。