日本メタルの夜明け。記念碑的名作。
★★★★★
LOUDNESSの記念すべきデビューアルバム。LAZYの「宇宙船地球号」で見られたような、歌謡メタル的な歌メロは皆無でかなりハードです。ハードロックじゃなくアイドルをやらされたフラストレーションの爆発と、元アイドルという事で舐められてたまるかって気持ちがあったのでしょうか。魔界や撃剣の、キャッチーなリフや歌メロ、ドラマティックな展開で聴かせる方向性ともまた違います。Deep Purpleをよりメタリックにしたような激しさと、プログレ的な複雑な曲構成を併せ持つ、当時のメタルシーンにおいて世界的に見ても個性的な音楽性だったと思います。
曲の出来、演奏とも荒削りですが素晴らしいです。30年も前に、このメタルの辺境である島国で20歳そこそこの若者が作り上げたアルバムだとは信じ難いほどです。特に高崎のギタープレイは非常にスリリング(LAZYの頃から凄腕だったので当然といえば当然)。二井原も若々しくシャウトしまくってます。ニイちゃんの歌唱法・発声からいって、日本語詞でもあまり何を言ってるかは耳に入ってこないので、日本語メタルのデメリットもあまり感じません。いわゆる二井原語ですからね(笑)。
2004年発売の紙ジャケリマスター盤のみ、初期シングルであるBurning Love、Bad Newsの2曲がボートラで収録されています。これらはシングルということをきっちり意識しており、キャッチーでわかりやすい曲調となっています。どちらも良い曲です。
ラウドネスは、最初から変わっていないのかもね
★★★★★
1980年代はじめのアイアン・メイデンを筆頭とするメタル・ブーム、
ニュー・ウェイヴ・オブ・ブリティッシュ・ヘヴィ・メタル(NWOBHM)。
この動きにリンクする形で、日本から登場したラウドネスのデビュー作。
四半世紀を超す歴史の長いバンドであり、音楽的にも変貌を遂げた時期が何度かあって、
中でも、いわゆる「インド三部作」と呼ばれた1990年代後半からの動きは物議を醸した。
その時のラウドネスの音について、国内のヘヴィ・メタル専門誌の編集長が
「今さらジミヘンにかぶれなくても」といったようなことを言っておられた記憶がある。
が、この1stアルバムの1曲目である、その名も「Loudness」はどうだ!
このイントロの恐竜の唸り声みたいなギター・トリックは、まさしくジミヘン的ではないか?
この点に着目すれば、バンドを結成時から引っ張ってきた高崎晃はブレていない、と断言できる。
また、本作のダークでウネるようなグルーヴとプログレッシヴさなんかは、
2000年代のオリジナル再結成後の諸作にも通じるな、と、改めて思ったりも。
バンドの本質を初っぱなから突いている、見事なデビュー・アルバムだろう。
原点
★★★★★
当時RAINBOW、IRON MAIDEN等聴いていた私が、日本にメタルバンドが居る事を知った初めてのアルバム。
誰から借りたのかも思い出せないあのテープ・・・家に帰って聴いてぶっ飛びましたね!「なんだこりゃ〜!?」
まず聴いた事の無い音と声にビックリ!!
和製METALって言うんですか?普段聴いてる曲とのあまりの違いに思わず一回止めました(笑)
今何が起こったのか理解できず暫く呆然としてました。
それ程の衝撃だったんですあの頃は。
HEAVY METALと言えば当時IRON MAIDENの1st「鋼鉄の処女(大好きです)」は今までに無いタイプで確かに衝撃でしたが、このアルバムはより衝撃でした。
日本人だから思いつくのか解らないけど、変なフレーズ、変な歌メロ、そしてパワフルなドラミングとハスキーなハイトーンVo。
前身バンドのレイジー解散後、あのメンバーのままではこうはならなかったでしょう。
音楽性の違いも納得ですが、影山ヒロノブは上手いけど曲調に合うかどうか・・・二井原で大正解。
また、二井原の前身バンドのEARTH SHAKERもマーシーのまったり伸びやかな声がよく合います。そちらも大正解。
影山はドラゴンボールZなどを歌い、アニソンの大御所的存在で皆、適材適所で成功したと思います。
アルバムの話に戻しますが、あまりの衝撃に最初の頃は1曲目しか聴いてませんでした。撃剣霊化の頃から全曲聴きだしましたね。食べ物と同じで本当の美味しさは大人になってから解るものなんです。
撃剣霊化までは和製ですがだんだん海外進出に伴い洋楽的になってきます。
今だから言えますが、洋楽的、それはそれでいいけど(確かにカッコイイので)でも、この和製曲調が後にも先にも他に無い最大のLOUDNESSの特徴でしたね。
プログレ的要素がそう思わせるのかもしれませんが、そういったカテゴリにもこれと同じ傾向って私の知ってる限りですがいないと思います。
努力して云々とかじゃない、天性としか思えない・・・あの若さにしてこのクオリティの高さ! 飽きないし、本当!いいアルバムです^^
実は……
★★★★☆
記載されてるBONUS TRACKSは入ってません。原盤のままの曲構成です。今回大人買いしまして、全てのアルバムがそうです。
肝心の音質はさすがHQCDです。聞き比べれば一目瞭然です。
日本HM史の幕開けを告げた作品
★★★☆☆
LAZYの終盤、演じさせられ続けたアイドル路線を自ら打ち破り本来やりたかったHR/HM路線を色濃く打ち出した名盤「宇宙船地球号」を世に出した高崎晃と樋口宗孝の両者だが、LAZYという既に一般にアイドルイメージが染み付いているバンドではどんなにいい作品を作っても色眼鏡で見られることもあり、実力勝負に出るため作ったのがこのLOUDNESSでした。
LAZYは今で言えばTOKIOが急にHRをやり始めたようなもので、そこでどんなにそれが彼らの本来の姿と言っても理解してくれる人は少数でしょう。
この1stアルバムは当時海外で盛り上がり始めていたHR/HMブームに乗り、本格的国産HMバンドの出現を待望していた国内シーンに熱狂的に迎えられました。
LAZY出身ということで色眼鏡で見ていた人々もその単純なHMにとどまらないプログレ的要素も含んだクオリティの高さにぶっ飛び、また二井原実のそれまでの日本人Voになかったハイトーンスクリーミングの存在感が圧倒的で後のジャパニーズメタル=ハイトーンVoというのがスタンダードになるほどの影響力を持った作品でした。
確かにこの作品は彼らが世の中を変えてやろうという意欲に満ちた作品で、実際その通りにこの後日本のHMシーンは彼らを中心に回っていくのですが、今聞くと非常に荒削りな作品でもあります。確か非常に短いレコーディング期間で作られた作品で、曲もアイドルの道楽と見られたくないという意識のあまり複雑で聞きづらいところが多々あり、当時の彼らの若さが垣間見えるところでもあります。
当時を知る人であればこのアルバムの意義がどれだけ大きかったか解ると思いますが、今単純にLOUDNESSを聞き始めたい方の入門編としてはお薦めしません。2ndの"戦慄の軌跡"も同時期に一緒に作られた作品で、本作と同一線上にあるためお薦めしにくいですから、初期のLOUDNESSを知りたいなら"魔界典章"か"撃剣霊化"をお薦めします。
そうしたLOUDNESSのスタンダードを聴いた後、このアルバムに帰ってきてみてください。
そのときこそこの作品の良さが解ると思います。