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アメリカのヒスパニック=ラティーノ社会を知るための55章 エリア・スタディーズ

価格: ¥2,100
カテゴリ: 単行本
ブランド: 明石書店
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今後アメリカを大きく左右する可能性のあるヒスパニック社会を知るための好適な入門書 ★★★★☆

 人口でアフリカ系を抜いて米国最大のマイノリティとなったヒスパニック系の人々の政治・文化・歴史など55項目に渡って概観できる一冊。明石書店のエリア・スタディーズ叢書はスペイン編・フィリピン編・インド編・バングラデシュ編・ブラジル編・中米編などを読んできましたが、今回のアメリカのヒスパニック編は類書が全くといってよいほどない中で大いに期待をもって手にしました。その期待を裏切らない仕上がりに大いに満足しています。

 アメリカのヒスパニック社会を見るために必要な視点として、本書はスペイン植民地時代のラテンアメリカとアメリカ合衆国の過酷で理不尽な確執の歴史に15章を充てています。キューバ、プエルトリコ、ドミニカ、エルサルバドル、ニカラグアといった中米国と米国との関係史で浮かび上がるのは、アメリカの過大で恣意的な内政干渉の数々です。援助の名のもとに軍事力と経済力を各国に惜しげもなく注ぎ込み、親米である限りは独裁政権もやむを得ずという態度は、アメリカの中東政策でもなんら変わるところがありません。歴史から学ぶということはないのかと暗澹たる思いがします。

 米国内のヒスパニックが一枚岩ではないという指摘は興味深く読みました。概してメキシコ系は教育程度が低く、一方でキューバ系は経済・教育ともにレベルが高い人が多いとのこと。

 とはいえ本書は、今後とも人口だけでなく高学歴のヒスパニックが増えることを予想し、概して教育水準の高い者ほど投票率が高いというデータをあげて、今後ヒスパニック系がアメリカの政治を大きく左右することを予測しています。その点からも私たち日本人がヒスパニック系社会の動向に注目することは重要といえるでしょう。

 39章から50章までは映画という卑近なテーマを選び、銀幕に写るヒスパニック系の人と社会を見つめています。一般読者向けの書としてなかなか憎い演出だと感じました。