哲学的
★★★★☆
会話が哲学的で、すぐには飲み込めない。古典文学を試行錯誤しながら読むような味わいがありました。
エリック・サティのピアノ曲が、鋭利な刃物のようで作品にフィットしています。
払いきれない孤独と虚無感
★★★★★
この映画を始めて見たのは13歳の時だった。
その頃は純粋に、エリック・サティの音楽と、映画の絵画的な表現にうっとりとしていたのだが、
なぜか心の中にはアランへの共感や苦しみが強く残っていた。
正直、アランが感じている苦悩は彼の人生観によって形作られるものであったので、子どもの自分が持つはずはなく、共感といってもアランと同じ感情になったわけではない。
けれど、うつ病気味でアルコール依存に悩む(原作では麻薬依存)青年の苦しさ、孤独を余りにもリアルに描き出しているために、似たような境遇にいた僕に共感を与えてくれたのだと思う。
多くの自殺者たちは、一般の人々に知られることなく死んでいく。アランの死も、その一つだ。
けれどルイ・マル監督は、その一つの命と死を見事に映し出している。
誰も救うことが出来ず、あっけなく死んでいってしまうアランを見ることによって、
人生の儚さ、そして命の尊さを感じることが出来る。
ただ静かに・・・
★★★★★
ルイ・マル監督の映画を見たのはこの鬼火が最初です。
エリック・サティの音楽と共に描かれる絵画的な映画です。
ただ静かに過ぎ行く日常を淡々と・・・
そしてその結末ですら悲劇のにおいを漂わせず静かに死んでいく主人公。
自分にとっては中々思い出に残る映画です。
雨の日の休日に見るといいかもしれません。
哀しいピアノ曲
★★★★☆
ある海外のドキュメンタリーで使われていた何となく聞いたことのある哀しいピアノの曲が気になって調べた。それはゲームなどにも使われているらしい。もっと調べてみれば身近なところでも使われていそうだ。
その曲は映画でも使われていることもわかった。「男は自殺を決めた。」というどうにも気になる物語。
普段あまり映画は見ないのだが、その男とモノクロの雰囲気とフランスの監督に惹かれ見てみた。
はっきり言って人生の中で見た(少ないが)映画のベスト5に入るほど気に入ってしまった。
あの曲がこんなにはまる映像があったことの驚きと、「うれしくも哀しくもない」というのが見た感想ではあるのだが「映画を見た」という満足感でいっぱいになった。
美術館で自分の好きな世界を表現しているお気に入りの絵画をずっと見ているような心地よさである。
非常識かもしれないが、その男の死にうらやましさを感じてしまった。