多作とは程遠いシンボルスカの練り上げられた言葉に込められた情景、思慮の深さ、完成の高さは、言葉の持つ魂、力を感じさせる。これは数十年前の作品から最近のものまで堪能することができるありがたい版である。ポーランド語で読めない私にとって、彼女の作品が邦訳されている事は非常に重要である。おそらく彼女の作品世界をよく表現している訳ではないかと推察する。
一読し理解できた気になるが、果たしてそうなのだろうか?詩人の眼はもっと別のところを見つめているのではないか?それぞれの読む時々にあわせた読み方ができ、様々考えることができる。
同時にポーランド文学に触れる事のできる数少ない本である。ぜひ触れてみてほしい。そして言葉の意味するもの、内包する力強さというものを考えてみてほしい。