1958年、ある男がのワシントンDCの鉄道の駅で目を覚ます。アメリカ初の人工衛星エクスプローラー1号が発射される少しばかり前のことだった。男は自分が何者で、なぜそこにいるのかわからなかった。少なくともこの数時間は、誰も彼を探そうとしなかったことは確かだった。彼は浮浪者のような格好をして、深酒をしていたようだった。しかし追っ手から逃れたり、行方をくらましたり、車を盗んだり、家屋に侵入したりする技術に非常にたけていた。彼はどうやってそのような才能を手にしたのかがわからず、心配になる。
「正直者ならどうだろう」
路上で心のうちをすべて吐露するのはばかげているかもしれないと思ったが、彼のほかに誰もいなかった。
「私は誠実な夫、愛される父親、頼もしい同僚なのだろうか。それともギャングか何かなのだろうか。何も知らないなんて嫌だ」「ねえ君、何に悩ませられているんだい。私は君がどんな男だったか知っているよ。もしギャングだったらこう考えるだろう。自分は金持ちか、女を殺すか、人々は自分を恐れているだろうかって」
そこがポイントだった。ルークはうなずいた。しかし彼は満足でなかった。
「ただ、いい人間になりたいだけなんだ。でも、自分が信じるようにはいかないかもしれない」
本書は、第2次世界大戦から1958年にかけての、理想に燃えた若い大学生たちの物語を呼び起こす。しっかりした構成で、エキサイティングかつサスペンスに満ちたストーリーの中に、アクションがうまく組まれていて、始めから終わりまで読者をつかんで離さない。(Jane Adams, Amazon.com)