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大相撲の経済学 (ちくま文庫)

価格: ¥714
カテゴリ: 文庫
ブランド: 筑摩書房
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若貴の内紛,朝青龍問題の背景もよくわかる ★★★★★
なぜ,大相撲では,一般人には不可解な事件が起こったり、
意味不明な決着にが落ち着いたりするのだろうか。
それを経済学から見てみると,すっと腑に落ちる。そんな本だ。

相撲界は,ひとつの企業で,各部屋は,立浪事業部,藤島事業部ということだ。
会社内の問題は,表に出さないよう秘密裏に処理される。

野球界も似てるけど,こちらは,伝統はそこそこあるけど,神事ではないからなあ。

なお、この著者の「おばさん」「寺」「障害者」それらの経済学本も
お薦めである。
大相撲の向こう側にある部分をアカデミックに解説する。 ★★★★★
大相撲は伝統芸術かスポーツか。不思議な存在だ。序章にあるが相撲の世界は一般社会にも通じる。つまりスポーツ界の実力主義の典型ながら力士は年功的賃金体系に守られ、相撲協会の定年65歳終身雇用という日本的経営組織であり、年寄株不足は日本の年金制度の将来を暗示し、八百長はご法度だが企業の中で社員同士の助け合いに似る。本書は相撲の雑学本とは違う切り口で非常に面白い。2003年出版で記述は平成15年夏場所時点までであるから続編を是非読みたいものだ。第1章は力士は会社人間。総当たりでなく、相撲部屋移籍の自由がなく、相撲協会の排他性、角界の競争制限等々。第2章は力士の給与体系。番付「職階給与」とは別に「力士褒賞金」という給与もある。第3章は年寄株。大相撲は現役と年寄を社員とする。一所懸命努力して番付を上げれば、15歳で角界入りの少年は日本相撲協会という会社で出世し65歳定年まで50年間お世話になれる。第4章は学歴と引退した幕内力士の第二の人生だ。辛いのが三段目力士の長引く滞留だ。景気低迷で転職が難しい。第5章は相撲部屋の経済学。部屋の収支と最適規模だ。後援会とタニマチ、協会と部屋等についての記述が興味深い。第6章が無気力相撲。部外者が目くじら立てるより相撲協会が自ら考えることと説く。第7章が一代年寄の損得。第8章が外国人力士。独占阻止に人数制限をするが、力士は高給ではないこと、高リスクの特殊資産形成、年寄株取得制約から深刻な問題にならぬと説く。但し日本人新弟子数が増えなければ話にならない。第9章は横綱審議委員会の謎。第10章は特殊なチケット販売。第11章は角界の構造改革。200年以上の伝統で培われた伝統の差別化された文化か、純粋にスポーツとして格闘技の競技性を高めるか、今後はどちらかの選択である。因みに著者は中学時代から相撲に入れ込み、塾では「大相撲の経済学研究会」を主催している。
異色に見せて実は正統派の相撲界ガイド ★★★★☆
「大相撲の世界は閉鎖社会であり、その中で自己完結的にシステムができ上がっている。
そのシステムを経済学の視点から統合的にとらえることによって、大相撲という社会の
合理性や問題点などが浮き彫りになってくるのではないかと考えたのだ。そしてこれらを
突き詰めていくと、実は日本経済全体が抱えるさまざまな問題とも共通点が見出せる」。

 本書は2003年に東洋経済新報社から出版されたテキストを加筆修正の上、文庫化したもの。
「経済学」といえばいかにも仰々しいし、まこと厳めしい統計学なども援用されてはいるが、
要するに相撲界のシステムがなぜに存続しえたのかという合理性、あるいは逆に現代における
破綻の原因等を論理的に説いているだけで、その手の専門知識とは果てしなく無縁のテキスト。
 必要なのは、日々を生きるためのシンプルな損得勘定だけ。

 なぜ八百長がなくならないのか?――だって、しばしば協力こそが合理的なチョイスなのだから。
 どれほどまでにやくみつるが発狂しようとも、なぜ朝青龍のお行儀に改善の兆候がないのか?
――だってアジャストするインセンティヴが彼にとってみればあまりに乏しいのだから。etc...

 年寄株や給与など、相撲の世界のシステムを合理性の観点から論じることにおいては
非常に読みやすく、また優れた一冊。
 ただし、筆者個人の自己主張となると、私にはやや疑問が残る。
 例えば横綱の品格とやらが過去において何の論拠も見出されない妄想でしかないということに
象徴されるように、相撲にいかに「伝統の継承」を求めようとも、継承すべき「伝統」などそもそも
空洞化してるのだから、そんなものは未来の相撲のあるべき道たりえないことはもはや自明。
 むしろ現状のありようを引き継いで、第二第三の貴乃花、朝青龍、内館牧子らを量産して、
ワイドショー向けにプロレス的なマッチポンプのネタ消費、そして時々手に汗握る大熱戦、という
ウェルメイドなショービジネス路線を突き進めばいい、としか私には思えないのだけれど。
大関がいいねー ★★★★☆

他のスポーツでも言えることだが、
スポーツ選手の稼げる期間はひじょうに短い…
精々30歳くらいまでの短期間で稼がなければならないのだから、
早めの出世を目指し中卒で入門することは理にかなっていると思う。

私は基本的に大相撲は完全実力の世界と考えているが、
幕内以上まで昇進できれば、よっぽどの逸材を除き、
会社員のように長ーく給料を貰える安定生活を
望んでも不思議はないかと…
もしものケガによる生活補償がアテに出来なければ尚更…

さて、なかなか成れるものではないが、大関という地位は良い。
極端に言うと一度昇進出来れば、
2場所連続で負け越さなければ、地位は落ちない…

例えば、年間6場所90日間の取組で、
8勝7敗→0勝15敗(または休場…)→8勝7敗→0勝15敗(または休場…)
8勝7敗→0勝15敗(または休場…)
と僅か年間24勝で大関の給料が貰える!?

うっかり横綱まで昇進してしまい、何かと注目を浴びたり、
少々弱くなりましたねと、引退勧告を受けたりするよりも
弱小大関とか何やらの非難を覚悟が条件ではあるが、
なんとか地位を維持したいと思っても………おっと!?失礼

いずれにせよ、たいへん面白い本だった。
分析的視点は汎用的かも ★★★★★
部屋制度から八百長疑惑まで、大相撲にかかわるあれこれを、経済学的な観点から
記述した一冊。

個人的で狭い見聞の範囲ながら、社会を記述(に徹し、それ以降は読んだ側に任せるし
かないわけですが)する著述は、本来その責務にあると自負するハズの社会学の分野から
のものは、どれもこれもダメダメで、社会学からすれば部分的で限定的な課題を担っている
ハズの、隣接分野からのものに優れたものが多い印象。あるいはお医者さんとか技術屋さ
んとかコンサルさんとかSEさんとか、もっと実務に近い分野から出される記述と分析と提案
に、説得力のあるものが多い印象。
本書も生産性分析などで実証的なガッチリした業績のある経済学者による一冊。

なんででしょね?

ともかく、たいへん面白く、いろいろ考えさせられます。

お相撲さんたちの給与の2階層性とか年寄株の需給関係の話とか、もちろん特殊業界た
るお相撲の世界でのことではありながら、昨今のホワイトカラーなんとかや後期高齢者かん
たらの背景になっている全般的な景気の低迷と財政的困難へも示唆に富むのではないか
・・・というのは、半分以上冗談ですが、少なくとも別様の制度的オルタナティブを考案して
いくにあたって、参考にはなるのでは。

あと、八百長の話など、何というのか、最近は社会学方面ではとみに評判の悪い機能主
義ですけれども、無内容な理念でコトを談じるのではなく、それ(よしんば道徳的には「悪い
コト」であっても)が、どういった「機能」を世の中に対して担っているのかを吟味することは、
やはり大事だと思わされた次第。

できれば分析方法について、もう少し詳しく書いてほしかったかも。